新人教育カリキュラムは大切!新人教育カリキュラムの重要性と作成方法を徹底解説
最終更新日:2025年6月20日
新人教育カリキュラムは、企業の未来を担う人材を育成するための重要な設計図です。しかし、効果的なカリキュラムを作るには、さまざまな要素を考慮しながら、慎重に計画を立てる必要があります。
新入社員は、学生から社会人への大きな転換期にあります。そのため、基本的なビジネスマナーから専門的なスキルまで、段階的な学習が欠かせません。また、時代とともに必要とされる能力も変化しており、カリキュラムの内容も適切なアップデートが求められます。
本記事では、人材育成担当者の方々に向けて、新人教育カリキュラムの基本的な考え方から具体的な作成方法まで、実践的な情報を徹底解説。より効果的な教育プログラムを作成していただくためのガイドとしてお役立てください。
この記事を読めば、効果的な新人教育カリキュラム作成に必要な知識がすべて把握できます。企業の未来を担う人材を育てるための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。
【この記事を読んでわかること】
- 新人教育カリキュラムの基本的な内容と目的
- 教育に必要な7つの要素と、それぞれの具体的な実施方法
- カリキュラム作成の具体的な手順とポイント
- 職種別(営業、事務、ITエンジニア)実践的なカリキュラム例
目次
新人教育カリキュラムとは?
新人教育カリキュラムは、新入社員を育てる大切な学びの設計図です。このカリキュラムを通じて、フレッシュな人材は社会人として必要なスキルを身に付けていきます。
まず基本となるのは、社会人としてのマナーやビジネススキルです。この部分は、学生からビジネスパーソンへの橋渡しとなる重要な要素。例えば、挨拶の仕方や正しい言葉づかい、電話応対など、日々の仕事に欠かせない基本を学びます。
さらに、会社の理念や方針についても深く理解を進めます。自分が働く会社がどんな考えを持ち、何を目指しているのか。この理解があってこそ、目的を持って仕事に取り組めるようになるのです。
また、それぞれの仕事に必要な専門知識や用語も、新人教育カリキュラムで学んでいきます。業界特有の言葉や考え方を知ることで、スムーズな仕事のスタートが実現できます。
このように新人教育カリキュラムは、新入社員が一人前の社会人として成長するための道しるべとなるものです。
新人教育カリキュラムの必要性

企業が新人教育カリキュラムを作る理由には、主に2つの重要な意味があります。
- 自社で能力を発揮できる人材を育成するため:会社の目指す方向と合った教育を行うことで、組織にぴったりの人材の育成につながります。
- 業務で必要なスキルを具体化するため:カリキュラムを組み立てる過程で、「いつまでに」「どんなスキル」が必要なのかが見えてきます。この見通しがあることで、計画的な人材育成が可能になります。
新人教育カリキュラムは単なる研修の予定表ではありません。会社の未来を支える人材を育てる重要な道具として、慎重に準備する必要があるのです。そのため、自社の特徴や目標に合わせて、しっかりとした計画の立案が大切です。
なお、新人教育カリキュラムには、短期的な目的と長期的な目的があります。短期的な目的は、学生から社会人への意識の切り替えのサポートです。長期的には、会社の成長を支える人材に育ってもらうことを目指します。短期、長期の目的については、次から具体的に解説します。
短期的目的
新人教育カリキュラムの目的を、さらに詳しく見てみましょう。まず短期的な目的は、学生から社会人への意識の転換を支えること。社会人としての第一歩を確実に踏み出せるように、さまざまな局面からサポートします。
まず大切なのは、ビジネスマナーの習得です。例えば、正しい挨拶の仕方や、丁寧な言葉づかい、ふさわしい身だしなみなど、社会人として基本となる振る舞いを身につけます。これらは、学生時代にはあまり意識することのなかった部分かもしれません。
また、社会人としての意識を高めることも重要です。時間の厳守や仕事への責任感、周りの人への気配りなど、働く人としての基本的な心構えを学びます。
仕事をする上での基本的なルールの理解も欠かせません。職場での立ち居振る舞いや、同僚とのコミュニケーションの取り方など、社会人としての基礎を固めていきます。
このように短期的な目的は、新入社員が職場に早くなじめるようにする役割も担います。学生気分を切り替え、社会人としての自覚を持ってもらうための大切なステップといえるでしょう。
長期的目的
新人教育カリキュラムの長期的な目的は、新入社員が組織目標の達成に主体的に貢献し、将来的には次世代のリーダーとして企業の中核を担う人材へと成長するための基盤を構築することです。
具体的には以下のような施策が盛り込まれます。
- 自律的成長と継続的学習の習慣化
新人教育は、受け身で学ぶだけでなく、自ら課題を見つけ、学び続ける姿勢、自律的成長の種を蒔く機会です。カリキュラムで得た知識やスキルを基盤に、実務を通して経験を積み、変化の激しい時代にも対応できる応用力や専門性を深めていくことを目指します。
- 組織への貢献意識とエンゲージメントの醸成
新入社員が早期に組織の一員として貢献し、自社の理念や文化を理解・体現することで、帰属意識とエンゲージメントを高めます。カリキュラムで得た共通言語や価値観は、部門を超えた連携を促進し、チームワークを強化します。これにより、個人の成長が組織の成果に直結し、会社全体の発展に貢献する喜びを感じられる人材を育てます。
- 次世代の担い手としてのリーダーシップと創造性の育成
新入社員には、将来的にチームやプロジェクトを牽引するリーダーシップを発揮したり、新たな価値を創造するイノベーションを生み出したりする人材へと成長することが期待されます。そのため、カリキュラムには、主体性、問題解決能力、多角的な視点を養う要素を組み込みます。初期の成功体験や失敗から学ぶ経験は、将来の困難な課題にも臆せず挑戦する勇気と、周囲を巻き込みながら成果を出す力を育む礎となります。
このように、新人教育カリキュラムは、単に業務知識を教えるだけでなく、新入社員一人ひとりが持続的に成長し、企業の未来を創造する原動力となるための基盤作りです。長期的な視点を持つことで、新入社員の可能性を最大限に引き出す支援ができるようになります。
新人教育カリキュラムに必要な7つの内容

効果的な新人教育には、充実したカリキュラムが欠かせません。研修は漠然と進めるのではなく、目的に合った内容を盛り込むことが肝心です。
具体的には、次の7つの要素を含めるとよいでしょう。
- 企業の指針や目的
- 社会人としてのビジネスの基礎
- コミュニケーション能力を向上させる内容
- PC操作
- コンプライアンスの理解
- 論理的思考力
- 自律的学習力・成長意欲の醸成
7つの要素は、新入社員の成長を支える大切な柱となるものです。これらをバランスよく組み合わせることで、効果的な教育プログラムを作ることができます。
まずは、基本となる内容をしっかりと押さえることが大切です。その上で、会社の特徴や業界の特性に合わせて、必要な要素を追加していきましょう。時代の変化に応じて、新しい知識やスキルの導入も検討する必要があります。
ここからは、7つの要素について詳しく見ていきましょう。各要素の意味や必要性を理解すれば、より効果的な新人教育カリキュラムの作成が可能になります。
企業の指針や目的
新入社員が最初に学ぶべきことの1つが、会社の理念や指針です。なぜなら、会社が目指す方向性の理解は、その後の仕事の進め方に大きく影響するからです。
まず、企業理念や経営方針について学習します。これは単なる言葉の暗記ではなく、その背景にある考え方や価値観を理解することが大切です。また、会社がどんな商品やサービスを提供しているのか、具体的な事業内容についても深く学んでいきます。
社内のルールや規則も、この段階で把握しておく必要があります。例えば、勤務時間や休暇の取り方、服装の規定など、日々の働き方に関わる基本的なルールについてです。これらの決まりには、それぞれ意味があることを理解するのも重要です。
このように企業について理解を深めることは、組織の一員としての自覚にもつながります。また、先輩社員と共通の理解を持って仕事に取り組めるようになり、スムーズな職場への適応も期待できます。これらの情報は、DocBaseのようなナレッジ共有ツールにまとめておき、新入社員がいつでも参照できるようにすると効果的です。
社会人としてのビジネスの基礎
社会人として必要な基本的なビジネススキルは、新人教育の重要な柱となります。これらのスキルは、どんな職種でも必ず必要な土台となるものです。
基本となるのは、ビジネスマナーです。正しい挨拶の仕方や丁寧な言葉づかい、ふさわしい身だしなみなど、社会人としての基本的な振る舞いを身につけます。これらは、良好な人間関係を築く上で欠かせない要素です。
また、実務に直結するスキルも重要です。電話の受け方やメールの書き方、名刺交換の作法など、日々の仕事で使う具体的なテクニックを学びます。特に「報告・連絡・相談」という報連相(ほうれんそう)の基本は、チームで働く上での重要な約束事として押さえておく必要があります。
これらの基礎的なスキルは、一朝一夕には身につきません。研修での学びを実践の場で繰り返し使うことで、少しずつ自然な振る舞いになっていきます。基本をしっかりと押さえれば、その後の成長につながる土台を育めるのです。
コミュニケーション能力を向上させる内容
現代のビジネスにおいて、コミュニケーション能力の重要性は日々高まっています。特に最近では、対面での打ち合わせに加えて、オンライン会議や商談も増えており、より多様なコミュニケーションスキルが求められています。
ベースとなるのは、相手の話をしっかりと聞き、自分の考えをわかりやすく伝える力です。これは社内の同僚との日常的なやり取りはもちろん、取引先との商談や顧客対応など、さまざまな場面で必要となります。
また、場面に応じた適切なコミュニケーションの取り方も学ぶ必要があります。例えば、上司への報告と同僚との雑談では、おのずと話し方が変わってきます。そして、オンラインでのコミュニケーションでは、画面越しでも相手に配慮した話し方が求められます。
このように、コミュニケーション能力は仕事を円滑に進める上で欠かせないスキルです。新人教育の段階から意識的に取り組むことで、スムーズな人間関係づくりが可能になり、仕事の効率アップにもつながっていくのです。
PC操作
現代のビジネスシーンでは、パソコンの操作スキルは必須の能力となっています。そのため、新人教育カリキュラムにおいても、PCスキルの習得は重要な位置を占めています。
基本となるのは、マイクロソフトオフィスの操作です。文書作成に使うワード、データ処理や表計算に欠かせないエクセル、プレゼンテーション資料を作るパワーポイントなど、業務で頻繁に使うソフトの使い方をしっかりと学びます。
近年では、クラウドサービスの活用も広がっています。グーグルのドキュメントやスプレッドシートなど、オンラインで共同作業ができるツールの使い方も、必要に応じて学びます。これらは、テレワークが増える中で特に重要性が高まっています。
大切なのは、実際の業務でよく使う機能から優先的に習得すること。基本的な操作を確実に身につけた上で、より高度な機能へと段階的に学習を進めていけば、実践的なスキルを育てられます。
コンプライアンスの理解
コンプライアンスとは、法令や規則の遵守を意味します。企業活動において、このコンプライアンスの理解と実践は、最も基本的で重要な要素の1つといえるでしょう。
新入社員の段階から、法令遵守の意識を持つことが大切です。例えば、個人情報の取り扱いには細心の注意が必要です。また、社外秘データの適切な管理や、さまざまなハラスメントの防止も、コンプライアンスの重要な部分です。
コンプライアンス違反は、企業の信用を大きく損なう可能性があります。そのため、予防的な対策として、具体的な事例を用いながら、どのような行為が問題となるのかを学ぶ必要があります。また、万が一、問題が発生した場合の正しい対処方法についても理解を深めておくことが欠かせません。
このように、コンプライアンス教育は、社内外で健全に、そして安全に働くための基礎となります。一人ひとりが正しい認識を持ち、日々の業務の中で実践していくことが求められているのです。
論理的思考力
ビジネスシーンで成果を上げるには、論理的思考力(ロジカルシンキング)が極めて重要です。物事を体系的に捉え、順序立てて考察し、説明できる力は、新入社員にとって欠かせない学びの1つです。
論理的思考力が身につくと、複雑な問題の本質を見抜き、適切な解決策を導き出せるようになります。また、自分の考えを相手にわかりやすく伝えられるようになるため、スムーズなコミュニケーションにもつながります。
例えば、上司への報告や提案の場面では、結論に至るまでの過程を筋道立てて説明することが求められます。また、顧客との商談では、製品やサービスの特徴を論理的に説明し、相手を納得させる必要があります。
このように論理的思考力は、日々の業務を円滑に進めるための基礎となります。また、問題解決能力や判断力を高めることで、将来的な成長にもつながる重要なスキルといえるでしょう。
自律的学習力・成長意欲の醸成
変化の激しい現代において、新入社員が継続的に成長していくためには、自ら学び続ける姿勢(自律的学習力)と、成長したいという意欲を持つことが不可欠です。新人教育カリキュラムには、この力を育む要素を取り入れることが望ましいでしょう。
具体的には、学習目標を自分で設定する機会を与えたり、学んだことをもとに新しい課題に挑戦することを推奨したりします。また、先輩社員の成功事例やキャリアパスを共有することで、学習意欲を高めることも有効です。DocBaseのようなツールで、学習リソースや社内の知見にアクセスしやすい環境を整えることも、自律的な学びを後押しします。
新人教育カリキュラム作成の手順 6ステップ

効果的な新人教育カリキュラムを作るには、計画的な準備と手順が必要です。ここでは、カリキュラム作成の6つのステップについて見ていきましょう。
- 自社でヒアリングを行う
- 目標や期限の設定
- 業務に関連した必要なスキルを洗い出す
- 新人教育方法を決める
- 具体的な内容を盛り込んだカリキュラムを作成
- 新人教育のスケジュールを決める
カリキュラム作成には、ADDIEモデルで全体像をつかむことをおすすめします。カリキュラム開発の国際的なフレームワークである「ADDIEモデル」を参考にすると、体系的に進めやすくなります。ADDIEモデルは、分析(Analysis)、設計(Design)、開発(Development)、実施(Implementation)、評価(Evaluation)の5段階で構成されます。この後の6ステップは、このADDIEモデルの考え方を具体的に落とし込んだものと捉えるとよいでしょう。
カリキュラムの作成にあたっては、まず、現場の声を集める作業から始めます。その上で達成すべき目標を明確にし、必要なスキルを洗い出していきます。次に、具体的な教育方法の選定と、実施内容の決定へと進みます。
これらの準備を踏まえた上で、具体的なカリキュラムの作成に入ります。最後に、実施スケジュールを組み立てれば、全体の設計の完成です。
それでは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。1つひとつの手順を理解し、実践することで、新入社員の成長を支える効果的なカリキュラムを組み立てられます。また、計画的な準備により、教育の質を高め、確実な成果につなげられるのです。
自社でヒアリングを行う
効果的な新人教育カリキュラムを作るには、まず社内での丁寧なヒアリングが欠かせません。特に、配属予定先の部署の意見を集めることで、実践的な教育内容を組み立てられます。
ヒアリングは、役員や管理職だけでなく、幅広い層から意見を集めることが大切です。中でも、入社から一定期間が経過し、実務経験を持つ2年目の社員の声は貴重です。なぜなら、彼らは新人研修を経験した直後の立場から、具体的な改善点を指摘できるからです。
聞き取る内容としては、「新人にどんな人材に育ってほしいか」「どんなスキルが必要か」といった具体的な質問が効果的です。また、前年の研修の良かった点や改善点についても、率直な意見を集めることに努めましょう。
このようなヒアリングを通じて得られた情報は、カリキュラムの土台となります。現場のニーズを反映した実践的な内容を作ることで、より効果的な新人教育が可能になるのです。ヒアリング結果は、DocBaseなどの情報共有ツールに記録・共有し、関係者間で認識を合わせることが重要です。
目標や期限の設定
新人教育を効果的に進めるには、明確な目標設定が不可欠です。どのような資質や能力を備えた人材へと成長を期待するのか、具体的にイメージを描くことから始めましょう。目標は、新入社員本人はもちろん、管理者や上司にとってもわかりやすい形で設定する必要があります。
目標設定には、「SMARTの法則」(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限付き)を参考にするとよいでしょう。
例えば、「一定期間にどのレベルの業務を遂行でき、どのような専門技能を習得しているべきか」といった具体的な到達点を定めます。これにより、教育成果の適切な評価が可能です。
目標設定では、全体的な目標に加えて、段階的な目標も大切です。初期段階ではビジネスマナーの習得、中期では実務スキルの向上、後期では応用力の育成といった具合に、段階的に進められるように設定します。
以下に、SMARTの法則を意識した新人教育カリキュラムにおける目標設定の例をいくつか示します。
【新人教育カリキュラムにおける目標設定例】
目標カテゴリ | 目標設定の例 (SMART意識) | 期限の目安 | 測定方法・指標(例) |
職種共通:基礎 | S: 新入社員全員が、社内規定および基本的なビジネスマナー(挨拶、言葉遣い、名刺交換、電話応対)を理解し、実践できるようになる。 M: ビジネスマナーテストで80点以上を取得し、OJT中のロールプレイング評価で合格基準を満たす。 A: 研修とOJTを通じて習得可能。 R: 円滑な業務遂行と社内外の良好な関係構築のため。 T: 入社後1ヶ月以内。 |
入社後1ヶ月 | ビジネスマナーテストの点数、ロールプレイング評価シート(上司・先輩による評価)、OJT中の行動観察 |
S: 全員が、自社の主要な製品・サービスについて、顧客に基本的な説明ができるレベルの知識を習得する。 M: 製品知識テストで正答率90%以上を達成し、模擬説明で主要ポイントを網羅できる。 A: 研修資料とOJTを通じて習得可能。 R: 顧客対応や関連業務の円滑な遂行のため。 T: 入社後2ヶ月以内。 |
入社後2ヶ月 | 製品知識テストの正答率、模擬説明の評価(説明の正確さ、分かりやすさ)、OJT中の顧客への説明内容(上司・先輩による確認) | |
営業職 | S: 新人営業担当者が、担当エリアの既存顧客に対して、先輩社員の同行なしで単独で訪問し、ヒアリングと製品紹介ができるようになる。 M: 1ヶ月あたり平均5件の単独訪問を実施し、訪問記録をCRMに正確に入力する。 A: OJTと先輩からの指導で達成可能。 R: 早期の戦力化と営業目標達成のため。 T: 入社後3ヶ月以内。 |
入社後3ヶ月 | CRMへの訪問記録件数・内容、訪問先からのフィードバック(アンケートなど)、上司による同行評価(初期)、ロールプレイング評価 |
S: 新規開拓において、月間5件のアポイントメントを獲得できるようになる。 M: 架電数、メール送信数、アポイント獲得数を記録し、目標達成率を週次で確認する。 A: 研修と実践を通じて徐々に達成可能。 R: 新規顧客獲得と売上拡大のため。 T: 入社後6ヶ月以内。 |
入社後6ヶ月 | CRM/SFA上の活動記録(架電数、メール数、アポ獲得数)、アポイント獲得率、上司との週次レビュー | |
事務職 | S: 新人事務担当者が、主要な社内システム(例:勤怠管理、経費精算)をマニュアルを見ずに正確に操作できるようになる。 M: 各システムの操作テストでエラーなく処理を完了できる。 A: 研修とOJTを通じて習得可能。 R: 業務効率化と正確な事務処理のため。 T: 入社後1ヶ月以内。 |
入社後1ヶ月 | システム操作テストの結果(正誤、所要時間)、OJT中の実務での操作状況(上司・先輩による確認)、質問回数の減少 |
S: 月次定例会議の議事録を、指定のフォーマットに従い、会議後2営業日以内に作成・共有できるようになる。 M: 作成された議事録の内容の正確性、網羅性、期限遵守率を評価する。 A: OJTとフィードバックを通じて達成可能。 R: 情報共有の迅速化と業務の円滑化のため。 T: 入社後3ヶ月以内。 |
入社後3ヶ月 | 議事録の提出状況(期限遵守率)、議事録の内容チェック(上司によるレビュー、修正箇所の有無)、参加者からのフィードバック | |
ITエンジニア | S: 新人エンジニアが、指定されたプログラミング言語(例:Java)を用いて、簡単な機能(例:CRUD操作)を単独で実装し、単体テストを完了できるようになる。 M: コーディング規約を遵守し、課題として与えられた機能を期限内に実装し、テストケースを網羅する。 A: 研修とメンターの指導で達成可能。 R: 開発チームへの早期貢献のため。 T: 入社後3ヶ月以内。 |
入社後3ヶ月 | 実装されたコードの品質(レビュー結果)、テストカバレッジ、課題の達成度、メンターからの評価、技術テストの結果 |
S: Git/GitHubを用いたバージョン管理の基本的な操作(コミット、プッシュ、プル、ブランチ作成・マージ)を理解し、チーム開発のワークフローに従って作業できるようになる。 M: 開発プロジェクトにおいて、Gitの操作で大きなミスなく、チームのルールに沿った運用ができる。 A: ハンズオン研修とOJTで習得可能。 R: チーム開発の効率化とコード管理の標準化のため。 T: 入社後1ヶ月以内。 |
入社後1ヶ月 | Git操作の理解度テスト、OJT中のGit利用状況(先輩エンジニアによる確認)、プルリクエストの質 |
このように、具体的な目標と期限を定めれば、教育の方向性が明確になります。また、定期的に進捗を確認することで、必要に応じた軌道修正も可能です。
業務に関連した必要なスキルを洗い出す
新人教育カリキュラムを作成する上で、必要なスキルを整理することは重要なステップです。業務に必要な能力を具体的に書き出し、優先順位をつけていきましょう。
まず、基本的なコミュニケーション能力や傾聴力といった汎用的なスキルがあります。また、業務に関連する実践的な技術や、業界特有の専門知識なども必要です。これらを漏れなく洗い出すことが大切です。洗い出したスキルは、DocBaseのようなツールでリスト化し、関係者と共有することで、認識のずれを防ぎます。
ここで重要なのは、スキルを「入社初期に集中的に習得すべきもの」と「日々の実務を通じて段階的に高めていくもの」に分けること。新人研修では、基礎的で汎用的なスキルを中心に学びます。一方、専門的な技術や知識は、実務経験を重ねながら徐々に身につけていく方法が効果的です。
このように、スキルの特性に応じて教育方法を使い分ければ、効率的な人材育成が可能になります。基礎をしっかり固めた上で、実践を通じて応用力を育てていく。そんなバランスの取れた育成計画の立案が大切なのです。
新人教育方法を決める
新人教育を効果的に行うには、目的に合った教育方法の選定が鍵となります。現在では、一堂に会して学ぶ集合研修や、個々の進度に合わせて利用できるデジタル教材、さらには実地研修など、さまざまな方法を組み合わせることが可能です。
教育方法を検討する際には、「70:20:10の法則」(学習効果は70%が業務経験、20%が他者からの薫陶、10%が研修から得られるという法則)を意識し、経験・薫陶・研修をバランスよく組み合わせることが推奨されます。
例えば、基本的なビジネスマナーや知識の習得には、集合研修が効果的です。一方、実務に関する具体的な手順は、実際の業務を通じて学ぶOJT(実地研修)が適しています。また、外部の専門家による講習(OFF-JT)を取り入れることで、より専門的な知識を効率的に学習できます。
最近では、メンター制度を導入する企業も増えています。先輩社員が新入社員の相談役となり、業務面だけでなく、精神面でのサポートも行います。特に、入社後の不安が大きい時期には、心強い支えとなります。メンター制度を成功させるには、メンターへの事前研修や、メンタリング内容の記録・共有も有効です。
このように、それぞれの教育方法の特徴を理解し、目的に応じて適切に選択することが重要です。複数の方法の組み合わせにより、さらに実りある教育の実現へとつながります。
具体的な内容を盛り込んだカリキュラムを作成
新人教育カリキュラムの具体的な内容を作る際は、段階的な学びを意識することが大切です。最初は社会人としての基本的な心構えやビジネスマナーから始め、徐々に専門的な内容へと進んでいきます。
まず入社直後は、社会人としての意識づけを重点的に行います。例えば、時間の使い方や職場でのマナー、基本的なビジネス用語の理解などです。この時期に社会人としての基礎を固めることで、その後の学習がスムーズになります。
次の段階では、より実践的なスキルの習得に移ります。ただし、一度に多くの内容を詰め込みすぎないよう注意が必要です。新入社員が無理なく学べるペースを考え、やさしい内容から難しい内容へと順序立てて進めていきます。カリキュラム案や教材は、情報共有ツールなどにアップロードし、関係者でレビューしながらブラッシュアップしていくとよいでしょう。
このように、学ぶ側の立場に立って内容を組み立てることが重要です。基礎から応用へ、シンプルな内容から複雑な内容へと、段階的に学びを深められるカリキュラムを作成しましょう。
新人教育のスケジュールを決める
新人教育のスケジュールを組む際は、入社から研修終了までの全体像の明確な提示も欠かせません。いつから始めて、どのタイミングで何を学ぶのか。具体的な時間配分を考えながら計画を立てていきましょう。
まず、カリキュラムの内容ごとに必要な時間を見積もります。基本的なビジネスマナーの習得に何日必要か、専門知識の学習にはどれくらいの期間を要するかなど、具体的な日程を出していきます。
ここで重要なのは、余裕を持ったスケジュール設定です。新入社員の理解度には個人差があり、予定通りに進まないケースも少なくありません。そのため、ある程度の調整期間を設けておくことが賢明です。
また、定期的に進捗を確認する機会も設けましょう。必要に応じてスケジュールを見直し、柔軟に対応できる余地を残しておくことで、より有益な教育の実現につながります。
新人教育カリキュラム作成で注意することは?
新人教育カリキュラムを作成する際、特に注意すべき重要なポイントが2つあります。
- カリキュラムの内容と構成
- 使用する言葉や説明方法
これらを意識することで、より有効なプログラムを組み立てられます。それでは、この2つのポイントについて、具体的に見ていきましょう。
内容を盛り込みすぎない
新人教育カリキュラムでよくある失敗が、内容の詰め込みすぎです。最初から多くのことを教えようとすると、かえって効果が薄れてしまう可能性もあります。短時間で学べるコンテンツを複数用意する「マイクロラーニング」の手法も取り入れ、新人が自分のペースで学習できるように工夫しましょう。
まずは、仕事をする上で必要不可欠な基礎的な内容に焦点を当てましょう。例えば、ビジネスマナーや基本的なコミュニケーション能力、会社の理念や規則の理解などです。これらの基本をしっかりと身につけることが、その後の成長につながります。
新人教育カリキュラムでは、より専門的なスキルや知識は、実務を通じて段階的に習得していく方が効果的です。新人研修の期間には限りがあるため、すべてを一度に教えようとすると、どの分野も中途半端な理解で終わってしまう可能性があります。
しっかりとした基礎固めを優先し、応用的な内容は実践の中で学んでいくという方針をおすすめします。新入社員が無理なく着実に成長できる環境を整えることが、カリキュラム作成の基本となります。
最初から専門用語を並べない
新入社員への教育で気をつけたいのが、専門用語の使い方です。入社間もない新人に、専門用語を多用した説明をすると、理解が追いつかず、学ぶ意欲を失ってしまう危険性があります。
特に、技術系の業界では専門用語が数多く存在します。これらを最初から詰め込もうとすると、新入社員は混乱してしまい、基本的な内容さえ理解が追いつかなくなるケースも。
そのため、専門用語を使う際は、わかりやすい言葉に言い換えたり、具体例を交えて説明したりする工夫が必要です。例えば、業界特有の用語を使う前に、その意味や背景を丁寧に解説することで、新入社員は理解を深められます。用語集を作成し、DocBaseで共有しておくのも一つの手です。
このように、新人教育のカリキュラムでは、新入社員の理解度に合わせて、段階的に専門知識を伝えていく姿勢が大切です。基礎的な内容を確実に理解してもらった上で、徐々に専門的な内容へと進んでいくことで、効果的な学びが実現できるのです。
カリキュラム作成で押さえておきたいポイント10個

新人教育カリキュラムの作成には、効果的な学びを実現するための重要なポイントがあります。これから、押さえておくべき10の要素について詳しく見ていきましょう。
- 新入社員の発言、質問の時間を設ける
- 飽きさせない工夫をする
- 定期的な見直しとアップデートをする
- 新入社員の目線で作成する
- 振り返りの場を作る
- 学びを実践する場を設ける
- 紙の資料が多くなりすぎないよう注意
- オンライン/リモート環境への配慮
- デジタルツールの活用
- 効果的なフィードバックの実施
これらのポイントは、新入社員の成長を支える大切な要素となります。単に知識を教えるだけでなく、実践的なスキルを身につけ、モチベーションを保ちながら学べる環境を整えることが重要です。
各ポイントは、それぞれに意味と目的があります。例えば、学びの定着を促すための工夫や、新入社員の負担を考慮した内容の調整など、さまざまな観点からカリキュラムを検討する必要があります。
これらのポイントを意識しながらカリキュラムを組み立てることで、より生産性のある新人教育が実現可能です。それでは、10のポイントについて具体的に見ていきましょう。
新入社員の発言、質問の時間を設ける
新人教育カリキュラムでは、新入社員が発言や質問をできる時間を適切に設けることが大切です。一方的な知識の伝達だけでは、十分な理解や成長は望めません。
質問の機会があれば、わからない点をそのままにせず、その場で解決することが可能です。また、疑問点を共有すれば、他の新入社員の理解も深まっていきます。
加えて、インプットだけでなく、アウトプットの機会を作ることも重要です。例えば、学んだ内容について意見を述べたり、グループで討議したりする時間を設ければ、知識の定着が進みます。
このように、双方向のコミュニケーションの導入により、質の高い学びが実現できます。新入社員が積極的に参加したくなる環境を整えることで、主体的な学習意欲を引き出し、より深い理解につながっていくのです。
飽きさせない工夫をする
参加者が飽きさせない工夫も、新人教育カリキュラムの作成には欠かせません。長時間座って話を聞くだけの研修では、どうしても集中力が途切れてしまいます。学習意欲を高めるために、ポイント制やバッジ、ランキングといった「ゲーミフィケーション」の要素を研修に取り入れるのも効果的です。
例えば、講義形式の説明と実践的な演習を組み合わせたり、グループワークを取り入れたりすることで、メリハリのある内容にすることができます。また、視覚的な教材を活用したり、実際の業務に即した事例を用いたりすれば、より理解が深まります。
新入社員が目的意識を持って参加できるよう、各セッションの意図や目標を明確に示すことも大切です。「なぜこれを学ぶのか」という理由がわかれば、より積極的に取り組めるようになるでしょう。
このように、形式や内容に変化をつけることは、新入社員の興味と集中力の持続につながります。飽きさせない工夫は、学習効果を高める重要なポイントなのです。
定期的に見直しをし、アップデートしていく
新人教育カリキュラムは、一度構築して終わりにするのではなく、継続的な検証とアップデートが欠かせません。時代とともに求められるスキルや知識は変化し、新入社員の特性も変わっていくからです。
特に近年は、デジタル化の進展やワークスタイルの多様化により、必要とされる能力が急速に変化しています。そのため、以前のカリキュラムをそのまま使い続けることは適切ではありません。
見直しの際は、研修プログラムの成果を客観的に評価し、どの部分が効果的で、どの部分に改善の余地があるのかを確認します。また、現場からのフィードバックや、新入社員からの意見も参考にしながら、内容を更新していきます。カリキュラムの改善案やフィードバックは、DocBaseに蓄積し、次年度の改善に活かしましょう。
新人教育のカリキュラムは生きた教材として扱い、常に最新の状況に合わせて進化させていく必要があります。時代に即した内容の教育により、質の高い人材育成が可能となるのです。
新入社員の目線で作成する
新人教育カリキュラムを作成する際は、企業側の目線だけでなく、新入社員の視点が要となります。組織の要望を一方的に押し付けるのではなく、新人の立場に立って考えることで、より有益な教育が実現可能です。
例えば、学生から社会人への転換期にある新入社員が、何に不安を感じ、どんなサポートを必要としているのか。そういった視点でカリキュラムを見直せば、より実践的な内容を組み立てることができるでしょう。
バランスの取れたカリキュラムは、新入社員のモチベーション向上にもつながります。自分たちの成長をサポートしてくれているという実感があれば、積極的に学ぼうとする意欲も高まるというもの。
このように、新入社員目線でのカリキュラム作成は、長期的な人材育成において重要な要素となります。一人ひとりの個性や成長のペースに合わせた長期的な視点での支援と、温かく見守る包容力が、将来的に組織の発展を担う有為な人材を育む土壌となるのです。
振り返りの場を作る
新人教育カリキュラムでは、必ず振り返りの場を設けましょう。学習した内容を確認し、成長を実感する機会に接することは、生産性のある学びへとつながります。
振り返りでは、「できたこと」はしっかりと褒め、課題については具体的な改善方法を一緒に考えていきます。この過程で、新入社員は自分の強みや得意分野に気づき、さらなる成長への自信を得られるのです。
特に、「できたこと」を適切に評価し、褒めることは重要です。成功体験とその実感により、新入社員のやる気は大きく高まります。その結果、次の課題にも積極的に取り組もうとする意欲が生まれます。
振り返りの場は単なる評価の機会ではありません。新入社員の成長を支援し、さらなる向上心を育む大切な機会として活用することで、より充実した人材育成が可能になるのです。
学びを実践する場を設ける
学習内容を実践する場を意図的に設けることも、新人教育カリキュラムの大切なポイントです。知識のインプットだけでなく、実際に体験し、活用するアウトプットの機会があれば、より深い理解と定着が期待できます。
例えば、参加者同士が協働して課題に取り組むグループワークや、特定の役割を演じて対応力を養うロールプレイングなど、実践的な演習を取り入れることで、座学で得た知識を具体的なスキルとして習得できます。ビジネスマナーの研修であれば、実際の場面を想定した練習を行えば、より実践的な学びとなるでしょう。
また、これらの体験型学習には、新入社員の積極的な参加を促すという効果も期待できます。受け身の姿勢ではなく、主体的に考え、行動する絶好の機会となるからです。
このように、理論と実践のバランスを取ることで、新人教育カリキュラムはより生産性の高いものになります。実際の業務で活用できる実践力の育成こそ、新人教育の重要な目的の1つなのです。
紙の資料が多くなりすぎないよう注意を払う
新人教育の課程では、紙の資料の量にも注意を払う必要があります。現代の若手社員は、デジタルツールに慣れ親しんでおり、過度に紙の資料が多いと、非効率な印象を受ける可能性があります。
特に、いわゆるZ世代は、学生生活を通じてデジタルツールでの情報交換やコミュニケーションを日常的に行っている世代です。そのため、すべての情報を紙で配布すると、現代の価値観とのズレを感じさせ、成長の機会が少ない会社というイメージを与えかねません。
重要なのは、必要な情報を適切な形式で提供すること。例えば、繰り返し参照する重要な資料は紙で配布し、補足的な情報はデジタルで共有するといった使い分けが効果的です。DocBaseのような情報共有ツールを活用すれば、資料のペーパーレス化と効率的な情報アクセスを両立できます。
このように、時代に即した形式での新人教育は、学習意欲の向上という視点でも外せない要素です。現代の新入社員の特性を理解し、効率的な情報提供の方法を選択していきましょう。
オンライン/リモート環境への配慮
近年、リモートワークの普及に伴い、オンラインでの新人教育も増えています。オンライン環境では、対面とは異なる配慮が必要です。例えば、長時間のオンライン講義は集中力が持続しにくいため、こまめな休憩を挟む、参加型のワークを増やすなどの工夫が求められます。
また、新人が孤独を感じないよう、オンラインでのコミュニケーション機会を意識的に設けることも大切です。DocBaseのようなツールを活用して、質問しやすい環境や、学習進捗を共有できる仕組みを作るのも有効でしょう。
デジタルツールの活用
新人教育を効果的かつ効率的に進めるためには、デジタルツールの活用が不可欠です。eラーニングシステム、コミュニケーションツール、そしてDocBaseのようなナレッジ共有ツールを組み合わせることで、学習効果を高めることができます。
例えば、基本的な知識習得はeラーニングでおこない、質疑応答やディスカッションはコミュニケーションツールを活用する。そして、研修資料やマニュアル、Q&Aなどは情報共有ツールに集約し、新人がいつでも必要な情報にアクセスできるようにします。これにより、教育担当者の負担を軽減しつつ、新人の自律的な学習を促進できます。
効果的なフィードバックの実施
新人の成長を促すためには、適切なフィードバックが欠かせません。フィードバックは、具体的かつ建設的であることが重要です。
「SBIフィードバックモデル」を活用するのも一つの手です。これは、Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)の3つの要素でフィードバックを構成する方法です。
例えば、「先日の〇〇会議で(Situation)、あなたが△△と発言したことで(Behavior)、議論が深まりました(Impact)」のように伝えます。これにより、新人は自身の行動とその影響を客観的に理解し、次の行動に活かすことができます。
業種別 新人教育カリキュラム3つの例
効果的な新人教育を行うには、業種ごとの特性を理解し、それに合わせたカリキュラムを作成することが重要です。ここでは、代表的な3つの職種における新人教育カリキュラムの例をご紹介します。
- 営業職カリキュラム
- 事務職カリキュラム
- ITエンジニアカリキュラム
それぞれの職種には、特有のスキルや知識が必要です。そのため、基本的なビジネスマナーや社会人としての心構えに加えて、職種特有の専門的な内容を適切に組み込む必要があります。
カリキュラムの内容には、職種ごとに即戦力として活躍するために必要な要素を網羅的に含めましょう。ただし、一度に多くの内容を詰め込みすぎないように優先順位をつけ、段階的に学べるよう工夫することも大切です。
それでは、それぞれの職種について、具体的なカリキュラム例を見ていきましょう。
営業職カリキュラム
営業職の新人教育カリキュラムでは、即戦力となる実践スキルの強化を重視します。基本となるのは、営業活動の意義と、顧客への接点から価値提供に至る一連のフローの理解です。これにより、自分の仕事の位置づけと進め方を把握することができます。
実践的なスキルとしては、筋道立てて物事を分析し、課題に対して最適なアプローチを導き出す力の育成が重要です。また、顧客との良好な関係を築くための、ニーズの把握と効果的な対話術の習得も欠かせません。これらのスキルは、実際の営業活動の成功に直結します。
さらに、計画性、段取り、時間管理術の習得など、業務を効率的に進めるためのノウハウも学びます。営業支援ツールの効果的な使い方についても、実践的な訓練を行います。
このように、営業職のカリキュラムは、理論と実践のバランスを取りながら、実務で即活用できるスキルの習得を目指します。段階的な学習を通じて、自信を持って営業活動に取り組める人材を育成しましょう。
【営業職カリキュラムの例】
期間/フェーズ | 研修項目 | 主な学習内容 | 研修方法 |
第1週:導入・基礎 | 1. 会社理解・業界知識 | 企業理念、事業内容、組織構造、業界動向、主要製品・サービス概要、競合情報 | 講義、グループワーク、資料読解 |
2. 営業職の役割と心構え | 営業の重要性、目標達成意識、顧客志向、コンプライアンス遵守、プロ意識 | 講義、先輩社員体験談、ディスカッション | |
3. ビジネスマナー(営業編) | 名刺交換、言葉遣い、身だしなみ、電話応対、メール作成、訪問時のマナー | 講義、ロールプレイング | |
第2週:商品知識・スキル基礎 | 4. 製品・サービス知識(詳細) | 各製品・サービスの機能、特徴、価格、導入事例、ターゲット顧客、想定される質問と回答 | 講義、デモンストレーション、OJT(先輩同行初期) |
5. 基本的な営業スキル①<br>(ヒアリング・提案基礎) | 顧客ニーズの引き出し方、効果的な質問技法、傾聴力、提案書の基本構成、分かりやすい説明方法 | 講義、ロールプレイング、ケーススタディ | |
第3-4週:実践準備・OJT | 6. 営業プロセスとツール活用 | アプローチ、ヒアリング、提案、クロージング、アフターフォローの一連の流れ、CRM/SFAツールの使い方、営業資料作成 | 講義、ツール操作演習、OJT(先輩同行・一部担当) |
7. 基本的な営業スキル②<br>(反論処理・クロージング) | よくある反論への対応方法、価格交渉の基本、クロージングのタイミングとテクニック | 講義、ロールプレイング、グループ討議 | |
第2ヶ月~:OJT・独り立ち支援 | 8. OJT(本格的な営業活動) | 先輩社員の指導のもと、実際の顧客対応、案件管理、目標設定と進捗管理 | OJT、定期的な面談、同行訪問 |
9. 営業戦略・ターゲティング | 市場分析、競合分析、ターゲット顧客の選定、効果的なアプローチ戦略 | 講義、ワークショップ、OJTでの実践 | |
10. 継続学習とスキルアップ | 最新の業界情報、営業手法の学習、社内外の研修参加、自己啓発 | 定期的な勉強会、外部研修、eラーニング、メンター制度 |
事務職カリキュラム
事務職の新人教育カリキュラムでは、業務円滑化のための基礎知識・技術の習得に重点を置きます。一般的なビジネスマナーや文書作成の基本に加え、実務に直結する専門知識を体系的に学びます。
具体的には、会計や経理の基礎知識、総務や人事に関する基本的な理解が必要です。これらの知識は、日常的な業務処理の基盤となります。また、顧客対応の基本を押さえることも忘れずに行いましょう。
特に重要なのは、社内で使用しているシステムやツールの操作方法の習得です。業務効率を左右する要素となるため、実践的なトレーニングを通じて確実に身につけることが求められます。
このように、事務職のカリキュラムは、基礎的な実務能力の向上を目指します。新人が安心して職務に臨めるよう、実践的なスキルを段階的に学べるプログラムを組み立てましょう。
【事務職カリキュラムの例】
期間/フェーズ | 研修項目 | 主な学習内容 | 研修方法 |
第1週:導入・基礎 | 1. 会社理解・組織構造 | 企業理念、事業概要、各部署の役割と連携、社内規定・ルール、オフィス環境の理解 | 講義、社内見学、資料読解 |
2. 事務職の役割と心構え | 事務職の重要性、サポート業務の意義、正確性・迅速性の追求、守秘義務、コミュニケーションの基本 | 講義、先輩社員体験談、ディスカッション | |
3. ビジネスマナー(事務編) | 言葉遣い、身だしなみ、電話応対(取り次ぎ、伝言)、来客応対(案内、お茶出し)、ビジネス文書の基本(社内・社外) | 講義、ロールプレイング | |
第2週:PCスキル・業務基礎 | 4. PC基本操作・Officeソフト | ファイル管理、メールソフト操作、Word(文書作成・編集)、Excel(表計算・グラフ作成基礎)、PowerPoint(資料作成補助) | 講義、操作演習、eラーニング |
5. 社内システム・ツール操作 | 勤怠管理システム、経費精算システム、グループウェア、その他業務特化システム(例:受発注システム)の基本操作 | 講義、デモンストレーション、操作演習 | |
6. 文書管理・ファイリング | 書類の分類・整理方法、ファイリングルール、電子データの保存・管理方法、情報セキュリティの基本 | 講義、演習 | |
第3-4週:実践準備・OJT | 7. 部署別業務知識(基礎) | 配属部署の主要業務、関連法規(必要に応じて)、専門用語の理解、他部署との連携ポイント | 講義、OJT(先輩からの説明、簡単な業務補助) |
8. 電話・メール応対(応用) | クレーム対応初期対応、複雑な問い合わせへの対応、状況に応じた適切な表現 | ロールプレイング、ケーススタディ | |
第2ヶ月~:OJT・業務遂行 | 9. OJT(本格的な業務担当) | 先輩社員の指導のもと、実際の業務処理、資料作成、データ入力、電話・来客応対、他部署との連携 | OJT、定期的な進捗確認、フィードバック |
10. 業務効率化・改善意識 | 定型業務の効率化方法、ミスの防止策、業務改善提案の考え方 | 講義、グループワーク、OJTでの実践 |
ITエンジニアカリキュラム
ITエンジニアの新人教育カリキュラムでは、専門的な技術スキルの習得が中心となります。プログラミング言語の基礎や、ネットワーク技術、セキュリティ対策など、技術者として必要な知識を体系的に学びます。
特に重要なのは、技術者としての基本的な姿勢です。技術は日々進化するため、継続的な学習姿勢と問題解決能力が求められます。また、ブラウザの仕組みやAWSなどのクラウドサービス、アプリケーション開発の基礎など、現代のIT環境で必要とされる知識も学びます。
また、これらの学習を通じて、プロフェッショナルとしての意識を育てていきます。単なる技術の習得だけでなく、エンジニアとしての考え方や姿勢も欠かせない要素だからです。
このように、さまざまな専門知識とスキルを段階的に身につけることで、自信を持って業務に取り組めるエンジニアを育成します。技術力と共に、プロ意識を持った人材を育成するカリキュラムを作りましょう。
【ITエンジニアカリキュラムの例】
期間/フェーズ | 研修項目 | 主な学習内容 | 研修方法 |
第1週:導入・IT基礎 | 1. 会社理解・開発組織 | 企業理念、事業概要、開発部門の役割と体制、開発プロセス概要、社内ITインフラ | 講義、チームメンバー紹介、資料読解 |
2. ITエンジニアの役割とキャリア | エンジニアの職務、求められるスキル、キャリアパス例、技術トレンドのキャッチアップ方法、情報倫理とセキュリティ意識 | 講義、先輩エンジニア体験談、ディスカッション | |
3. コンピュータサイエンス基礎 | ハードウェア、ソフトウェア、OS、ネットワーク、データベースの基本概念、アルゴリズムとデータ構造の初歩 | 講義、eラーニング、簡単な演習 | |
第2-4週:技術基礎習得 | 4. プログラミング言語研修(例:Java, Python, JavaScriptなど、主要言語に合わせて) | 選択言語の文法、データ型、制御構造、オブジェクト指向の基本(該当する場合)、標準ライブラリ、簡単なプログラム作成 | 講義、コーディング演習、ペアプログラミング、オンライン教材 |
5. 開発環境構築・ツール利用 | IDE(統合開発環境)のセットアップと基本操作、バージョン管理システム(Git/GitHubなど)の基本、デバッグツールの使い方 | ハンズオン、ペアワーク | |
6. Web技術/DB基礎(必要に応じて) | HTML/CSS/JavaScriptの基本、HTTPプロトコル、SQLの基本(SELECT, INSERT, UPDATE, DELETE)、RDBの概念 | 講義、演習 | |
第2-3ヶ月:実践・OJT | 7. 小規模な課題・プロジェクト | 設計、実装、テストの一連の流れを体験、チームでの共同作業(コードレビュー、進捗報告) | グループワーク、メンターによる指導、コードレビュー |
8. OJT(実際のプロジェクト参加) | 先輩エンジニアの指導のもと、既存システムの改修、新規機能の一部開発、テスト作業、ドキュメント作成など | OJT、ペアプログラミング、定期的な1on1ミーティング | |
第4ヶ月~:自律的貢献 | 9. より高度な技術・専門分野 | 配属チームや担当業務に応じた専門技術(例:クラウド技術、AI、セキュリティ)、設計パターン、パフォーマンスチューニング基礎 | OJT、社内外研修、技術書籍輪読会、自己学習 |
10. 品質意識・チームワーク | テストの重要性、コード品質の維持、ドキュメンテーションの習慣化、効果的なコミュニケーション、チームへの貢献意識 | OJT、チームミーティング、振り返り会(KPTなど) |
カリキュラムをテンプレート化して活用する
新人教育カリキュラムは、情報共有ツールやスプレッドシートを活用してテンプレート化することで、より効率的な作成と運用が可能になります。これにより、担当者間での情報共有がスムーズになり、一貫性のある教育を実現できます。
テンプレートは、研修期間に応じて使い分けると効果的です。例えば、短期研修では時系列のスケジュール表形式、長期研修では進捗を可視化する工程表(ガントチャート)形式を用いるなど、目的に合わせて最適な形式を選択します。
作成したカリキュラムの雛形は、新入社員への研修計画の提示、OJTでの進捗管理、社内での人材育成方針の共有といった、さまざまな局面で柔軟に運用できるという利点があります。DocBaseのような情報共有ツールにカリキュラムテンプレートを保存しておけば、過去のフィードバックや改善点を反映させながら、継続的にブラッシュアップしていくことが容易になります。
このように、カリキュラムをテンプレート化することで、教育の質を維持しながら、効率的な運用が可能になるのです。また、過去の実績を踏まえた改善もスムーズになります。
新人教育カリキュラム作成にはDocBase

ここまで見てきたように、新人教育カリキュラムは、企業の成長を支える人材育成の重要な指針となります。効果的なカリキュラムを作成するためには、社内でのヒアリングや目標設定など、入念な準備が欠かせません。
特に、カリキュラムの作成と運用では、DocBaseのようなナレッジ共有ツールの活用がおすすめです。情報の一元管理・共有が可能なため、より効率的な教育プログラムの実施につながります。また、過去の実績や改善点を蓄積でき、カリキュラムの質を継続的に高めていくことが可能です。
新人教育カリキュラムには、7つの重要な要素(企業の指針、ビジネス基礎、コミュニケーション能力、PC操作、コンプライアンス、論理的思考力、自律的学習力)を適切に組み込み、新入社員の目線に立った内容構成を心がけましょう。特に、内容の詰め込みすぎや専門用語の多用は避け、段階的な学習を可能にする構成が重要です。
時代とともに求められるスキルは変化します。DocBaseを活用して定期的な見直しとアップデートを行い、常に最新のニーズに応えられる内容を維持することで、より効果的な人材育成が実現できます。計画的かつ柔軟な新人教育カリキュラムの運用を通じて、企業の未来を担う人材の育成を支援していきましょう。
【新人教育カリキュラムの作成や活用を目的としたDocBaseの活用事例】
内容 | 事例ページ(詳細) | |
必要な情報の集約と共有 | 入社した新人が過去のログを探したり、どこに何があるか分からない不便さを解消するため、情報の整理やマニュアル整備の目的でDocBaseが導入されています。 オリエンテーションに関するリンクやファイル(Excelで書かれた社内ルールや身だしなみルールをまとめた画像など)を一つのDocBaseメモに集約し、チャットでバラバラに送る代わりにDocBaseのリンクをクリックすれば確認できるようにしています。 |
いつ自分がいなくなっても大丈夫なチームへ。暗黙知をマニュアル化し業務を効率化 大和財託株式会社様 |
社内ルール、便利ツールの使い方、組織図、各種依頼書、システム周りの設定方法など、よく使う情報のリンク集として「ここみて」というメモを作成し、新人が参照できるようにしています。 | 会議のペーパーレス化が進んで、とても楽になりましたオイシックス・ラ・大地株式会社様 | |
人事課内では、DocBaseの使い方、採用・人材管理ツールの使い方、過去の採用活動の進捗や対策、振り返りなどをDocBaseに投稿し、人事課内でのマニュアル作成にメインで利用しています。 |
新人スタッフへの100通超の業務連絡メールを削減「全国にスタッフがいる会社におすすめです」 | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 医療法人 風林会様 |
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社内ツールの設定マニュアルなど、覚えるのが難しい機器の設定方法をマニュアル化し、DocBaseで共有することで、必要なときに見られるようにしています。 | 属人化していたノウハウを全社で共有し、誰でも顧客サポートができるチームへ大垣ケーブルテレビ様 | |
技術的な知見やノウハウを共有し、新人が自分で欲しい情報を見つけたり、関連する情報を見つけて書いた人に聞いたりできるようになりました。 |
暗黙知や経験則をドキュメント化する文化が根付き、手戻りや新人教育の時間が激減 | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様 |
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マニュアルや手順書の整備と属人化の解消 | 異動が多く新人が入るたびに1から教える手間があった組織では、DocBaseで誰でも知識を得られる状況を作っています。 |
暗黙知や経験則をドキュメント化する文化が根付き、手戻りや新人教育の時間が激減 | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様 |
開発や運用に必要な手順書、ルーティンワークの手順、サーバー操作方法などをDocBaseに書いており、ややこしい操作手順があるものはDocBaseを参照すればいい状態にしています。 | エンジニア全員が日々の重要な作業を行えるようになりました株式会社GameWith様 | |
業務の属人化をなくすため、DocBaseでマニュアルを展開しており、常にアップデートされるため、どのタイミングで入ったメンバーでも最新の状態を把握できます。 |
新人スタッフへの100通超の業務連絡メールを削減「全国にスタッフがいる会社におすすめです」 | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 医療法人 風林会様 |
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新人の情報アクセスと教育の効率化 | 新人がDocBaseのさまざまなメモを自主的に読んでくれて、まだ口頭で伝えていない情報も把握しています。 |
メンバーが、自分が所属していない案件のメモも自然と見てくれるようになりました | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 株式会社LINICA様 |
新入社員は新しい環境で不安を抱えているため、人に聞くのが負担に感じることがありますが、DocBaseを見ればいろいろわかるようになり、好評を得ています。 |
総勢300人のエンジニア、営業、サポートスタッフが一体に。共有した知識で専門外のことも教え合うチームへ | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 株式会社いい生活様 |
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初めて業務に携わるスタッフが、DocBaseのメモを読んで、わかりにくい点を編集・ブラッシュアップしていくことで、教育時間が大幅に短縮できたと感じられています。 新人教育や新しい業務を始める際に、あちこち情報を探しに行く手間が減りました。 |
新人スタッフへの100通超の業務連絡メールを削減「全国にスタッフがいる会社におすすめです」 | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 医療法人 風林会様 |
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今まで口頭で伝えていたオンボーディングが「メモを読んでもらう」形に変わったことで、教育の手間が減ったという実感があります。 |
部署を越えてナレッジを横展開できるようになりました | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール 株式会社マイナビ様 |