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ICT化とは?導入するメリットや具体的な進め方についてわかりやすく紹介

最終更新日:2025年6月20日

ビジネスの現場で注目を集めているICT化。単なるデジタル化だけでなく、情報通信技術を活用して業務の効率化や生産性の向上を実現する取り組みを指します。しかし、「具体的に何から始めればいいのか」「導入のメリットは本当にあるのか」と迷われている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ICT化の基本的な考え方から、導入のメリット・デメリット、具体的な進め方まで、実践的な内容をわかりやすく解説します。業務改善に役立つツールの選び方や、成功のためのポイントも詳しくご紹介していきます。

【この記事を読んでわかること】

  • ICT化の基本的な意味と、IT・IoT・DXといった関連用語との違い
  • ICT化の導入がもたらす5つのメリット
  • ICT化を進める上でのデメリットと対策
  • CT化を成功させるための5ステップと、押さえるべき重要ポイント

ICT化とは

ICT化について、その意味から詳しく見ていきましょう。ICTは「Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー)」の略語で、日本語では「情報通信技術」と訳されています。

では、ICT化とは具体的に何を指すのでしょうか。それは、情報通信の技術を使って、私たちの仕事や暮らしをより良くしていく取り組みのことです。例えば、紙の書類をデジタル化したり、対面での会議をオンラインに切り替えたりすることも、ICT化の1つです。

このICT化には大きな特徴があります。それは単にデジタル機器を使うだけでなく、情報通信技術を駆使して情報を円滑に共有し、コミュニケーションを活性化させ、組織全体の生産性向上や新たな価値創造につなげる点が特徴です。情報をやり取りする中で新しい価値を生み出し、組織全体の効率を上げていくのです。

似た言葉にITがありますが、ITが技術そのものを指すのに対し、ICTはその技術を使って人々がどうつながり、どう活用していくかという部分まで含んでいます。

このように、ICT化は私たちの働き方や暮らし方を大きく変える可能性を秘めています。特に近年は、リモートワークの普及や働き方改革の推進に伴い、その重要性がますます高まっているのです。

ICT化が注目される背景

データ分析

近年、ICT化が大きな注目を集めています。その背景には、以下のような重要な社会の変化があります。

  • 働き方改革の推進
    長時間労働の是正や、効率的な業務の実現が求められる中で、ICT化は重要な解決手段として期待されています。特に、Web会議システムやチャットツールといった遠隔コミュニケーションツールの活用は、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を支える基盤となっています。
  • コロナ禍の影響
    感染症対策として始まったリモートワークは、多くの企業で定着しつつあります。この経験を通じて、ICT化の必要性が広く認識されるようになりました。
  • 少子高齢化による人手不足
    生産年齢人口が減少する中、業務の効率化や生産性の向上が強く求められています。ICT化は、この課題に対する有効な対策として注目されているのです。

このような社会の変化を受けて、ICT化の流れは今後さらに加速すると予測されています。企業が成長し続けるためには、ICT化への取り組みが不可欠な時代となっているのです。

ICTとよく似た言葉と意味

ICTに似た用語として、IT、IoT、DXがあります。これらの違いについて、わかりやすく説明していきましょう。

用語 日本語訳 主な焦点・目的 具体例
IT 情報技術::Information Technology(インフォメーション テクノロジー)の略
コンピュータやネットワークなどの技術そのもの、情報の処理・保存 ハードウェア、ソフトウェア、社内システム
ICT 情報通信技術:Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー)の略 情報技術を活用したコミュニケーション、情報の伝達・共有 メール、チャット、Web会議、情報共有ツール
IoT モノのインターネット:Internet of Things(インターネット オブ シングス)の略 モノをインターネットに繋ぎ、情報収集・遠隔操作 スマート家電、工場のセンサー、ウェアラブル端末
DX デジタルトランスフォーメーション:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略 デジタル技術によるビジネスモデルや組織文化の変革 新規オンラインサービスの開発、データ駆動型経営


このように、それぞれの用語には少しずつ異なる意味があります。ICT化を進める際には、これらの違いを理解した上で、自社に合った取り組みを選ぶことが大切です。

前述の表で各用語の概要をご紹介しましたが、このあとの章でITとIoTについて、もう少し掘り下げて、それぞれの特徴やICTとの関連性について補足します。またDXについては、現代のビジネスにおいて特に重要性が高いため、さらに詳しく解説します。

ITとは

ITは「Information Technology(インフォメーション テクノロジー)」の略語で、日本語では「情報技術」と訳されます。ITという言葉は、コンピュータの黎明期から現代に至るまで、私たちの社会やビジネスに不可欠な要素として存在し続けています。

一般的に、コンピューターシステムやネットワーク、ソフトウェア、データベースといった技術そのものや、それらを用いた情報の処理・保存・管理の仕組み全般を指します。

ITが技術そのものや情報の「処理・蓄積」に重きを置くのに対し、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)は、そのITを利活用して「どのように情報を伝達し、コミュニケーションを図るか」という「活用・伝達」の側面をより強く含んでいます。

例えば、社内システムを構築するのはITの領域ですが、そのシステムを使って社員同士が円滑に情報共有できる仕組みを整えるのはICTの視点が重要になります。国際的にはICTという表現がより広範な概念として用いられる傾向にあります。

高性能なITシステムを導入するだけでは、必ずしも期待した効果が得られるわけではありません。大切なのは、導入したITをいかに業務プロセスに適合させ、従業員がスムーズに活用できるか、そして組織全体でその価値を共有できるかという点です。この「活用」を重視する視点が、コミュニケーションを核とするICTの考え方と深く結びついています。

IoTとは

IoTは「Internet of Things(インターネット オブ シングス)」の略語で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。

これまでインターネットとは無縁だった様々な「モノ」が、通信機能を持つことで相互に接続され、情報をやり取りする仕組みを指します。このIoTという概念は、近年急速に注目度を高めており、私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。

具体的な例を見てみましょう。

  • センサー技術の高度化と低価格化: 温度、湿度、位置情報、動きなど、多様な情報を検知する小型で高性能なセンサーが安価に入手できるようになりました。
  • 無線通信技術の発展と普及: Wi-Fi、Bluetooth、LPWA(省電力広域無線技術)といった多様な無線通信技術により、モノが容易にインターネットに接続できるようになりました。
  • クラウドコンピューティングの進化: モノから収集される膨大なデータを効率的に蓄積・処理・分析するためのクラウド基盤が充実しました。
  • AI(人工知能)技術の進歩: 収集されたデータをAIが分析することで、より高度な予測や自動制御、新たな価値の創出が可能になっています。

これらの要素が組み合わさることで、IoTは幅広い分野で活用が進んでいます。

IoTの活用事例は、以下のように多岐にわたります。

  • スマートホーム: 家電製品や住宅設備がインターネットにつながり、スマートフォンからの遠隔操作や、生活パターンに合わせた自動制御が可能になります。
  • スマートファクトリー: 工場内の機械や設備にセンサーを取り付け、稼働状況のリアルタイム監視、故障予知保全、生産プロセスの最適化などを実現します。これにより、生産性の向上やコスト削減に繋がります。
  • コネクテッドカー: 車両がインターネットに接続され、リアルタイムな交通情報やナビゲーション、車両診断、緊急通報システムなどが提供されます。将来的には自動運転技術の基盤ともなります。
  • ヘルスケア: ウェアラブルデバイスが個人の健康データ(心拍数、睡眠時間、活動量など)を収集し、健康管理や遠隔医療に役立てられます。

これらの事例において、IoTで収集された膨大なデータ(ビッグデータ)は、ICT基盤を通じてクラウドに集約されます。

そして、AIがそのデータを分析し、パターンを発見したり、将来を予測したりすることで、より高度なサービスや効率的な運用が実現します。このように、IoTはICTやAIと密接に連携することで、その真価を最大限に発揮すると言えるでしょう。

DXとは

最近よく耳にするDXについて、その意味と目的を分かりやすく説明していきましょう。

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略語です。デジタル技術を活用して、企業の活動や人々の生活に大きな変革をもたらすことを指します。単なるデジタル化とは異なり、ビジネスの仕組みそのものを変えていく取り組みなのです。

DXの特徴は、その変革の広がりにあります。社内の業務改善だけでなく、お客様へのサービスや、取引先との関係づくりまで含めた、幅広い変革を目指します。例えば、オンラインショップの開設だけでなく、お客様の購買データを分析して新しいサービスを生み出すといった取り組みもDXの1つです。このDXを実現する上で、基盤となるのがICTの活用です。

近年においてDXが必要とされているのは、デジタル技術の進歩によって、ビジネスや社会の在り方が大きく変わってきているためです。この変化に対応し、新しい価値を生み出していくためには、従来の仕組みを見直し、積極的にDXで変革を進める必要があります。

このように、DXは単なるデジタル化を超えた、企業の成長と発展のための重要な取り組みといえるでしょう。

ICT化のメリット

MERIT

ICT化を進めることで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主な5つのメリットについて説明していきます。

  • 業務の効率化

    情報やナレッジを組織全体で簡単に共有できるようになり、手作業の自動化も進みます。これにより、業務のスピードアップと生産性の向上が見込めます。
  • スムーズな情報共有

    社内のチャットツールやクラウドサービスを使うことで、必要な情報をすぐに共有可能。新入社員への引き継ぎも、デジタル化された資料で簡単に行えるようになります。
  • ミスの削減

    作業の自動化により、人為的なミスを減らすことができます。さらに、AIとの連携により、データに基づいた客観的な判断が可能となり、経験の差による判断ミスを防ぐ効果も期待できます。
  • コストの削減

    業務の効率化やプロセスの自動化により、運営コストを下げることができます。また、Web会議の活用で、出張費や交通費といった移動コストだけでなく、それに伴う移動時間も削減できます。
  • 柔軟な働き方の実現

    場所や時間にとらわれない働き方が可能になり、テレワークや時短勤務、フレックスタイム制なども実現できます。これにより、多様な人材の活用や、働き方改革の推進にもつながります。

このように、ICT化には多くのメリットがあります。ただし、これらのメリットを最大限に活かすには、計画的な導入と従業員の理解が欠かせません。自社の状況に合わせて、段階的に進めていくことが大切です。

次から、これらのメリットについて詳しく解説していきます。

業務の効率化につながる

ICT化がもたらす大きなメリットの1つが、業務の効率化です。具体的にどのような効果が期待できるのか、詳しく見ていきましょう。

まず、ナレッジや情報の共有が簡単になります。特定の人材のみが保持していた知見やノウハウ、業務記録などを、組織内で多くの人がアクセスし活用できる状態へと変化させられるのです。その結果、社員全体のスキルアップや、新しいアイデアの創出にもつながります。

また、手作業で行っていた業務の自動化も進みます。例えば、データの入力や集計、書類の作成といった作業を、システムが自動で処理してくれるようになります。これにより、作業時間が大幅に短縮され、より重要な業務に時間を使えるようになります。

さらに、部署間の連携も活発になります。オンラインツールを使えば、離れた場所にいる社員同士でも、スムーズな情報のやり取りが可能。その結果、プロジェクトの進行がスピードアップし、生産性の向上にもつながります。

このように、ICT化による業務の効率化は、企業の成長を支える柱の1つとなっているのです。

情報共有がはかどる

ICT化によってもたらされる重要なメリットの1つに、情報共有の円滑化があります。従来の方法と比べて、どのように変わるのか見ていきましょう。

アナログな環境では、情報共有に多くの時間と手間がかかります。例えば、紙の資料を配布したり、口頭で説明したりする必要があるため、スピーディーな情報伝達は困難でした。

一方、ICT化が進んだ環境では、クラウドサービスや社内専用チャットツールなどの導入により、情報の共有が瞬時に可能。例えば、プロジェクトの進捗状況や重要な連絡事項を、すぐに関係者全員に伝えることができるのです。

新入社員への引き継ぎにおいても、ICT化のメリットが発揮されます。業務マニュアルやこれまでの記録を、デジタル形式で簡単に共有できるため、スムーズな引き継ぎが可能になります。例えば、DocBaseのような情報共有ツールを活用すれば、検索性の高いナレッジベースを構築でき、新入社員も必要な情報を迅速に見つけ出すことができます。

さらに、情報共有の正確性も向上します。口頭での伝達と違い、デジタルツールを使えば、重要な情報を確実に記録し、必要な時にいつでも確認することができます。

このように、ICT化による情報共有の円滑化は、組織全体の効率性と生産性の向上に大きく貢献するのです。

ミスが減らせる

業務ミスの削減も、ICT化がもたらす大切なメリットです。どのようにミスが減るのか、具体的に見ていきましょう。

人の手による仕事では、ミスが生じやすいもの。例えば、データの入力ミスや、計算間違い、重要な情報の見落としなど、いくら気をつけていても発生してしまいます。しかし、ICT化によって業務を自動化することで、こうした人為的なミスを大きく軽減できます。

また、情報伝達の正確性も高まります。デジタルツールを使えば、必要な情報を確実に記録し、関係者全員で共有できます。これにより、口頭での伝達によるミスコミュニケーションも防げるのです。

さらに、最近では AIの利用が目立ってきました。AIとの連携によって、担当者の経験不足から生じる判断ミスも回避できます。例えば、過去のデータをAIが分析し、最適な判断をサポートしてくれるのです。

このように、ICT化は単なる効率化だけでなく、業務の質の向上にも大きく貢献します。ミスの削減は、顧客満足度の向上や、企業の信頼性アップにもつながる重要な要素といえるでしょう。

コスト削減につながる

4つ目のメリットは、コストの削減です。ICT化を進めることで、どのようにコストを削減できるのか、具体的に見ていきましょう。

まず、業務の効率化によるコスト削減があります。これまで時間をかけて手作業で行っていた作業を自動化すれば、人件費や残業代を抑えられます。また、作業時間が短縮されることで、より価値の高い業務に時間を使えるようになります。

次に、ペーパーレス化によるコスト削減も見逃せません。紙の資料を電子化することで、印刷費や保管スペースの費用を減らせます。さらに、資料の検索や共有も簡単になり、業務効率もアップ。

また、会議のオンライン化でも、大きなコスト削減が見込めます。出張費や会議室の確保にかかる費用を節約できるだけでなく、移動時間の削減にもつながります。

このようなコスト削減効果は、最終的に企業に収益の向上をもたらします。さらに、削減できた費用を新しい取り組みに投資することで、会社の成長を加速させられるのです。

ICT化によるコスト削減は、単なる経費の節約ではなく、企業の持続的な発展を支える鍵となる要素なのです。

場所や時間に縛られない働き方ができる

ICT化がもたらす5つ目のメリットは、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現できること。具体的にどのような変化が起きるのか、見ていきましょう。

まず、テレワークが可能になります。自宅やサテライトオフィスなど、会社以外の場所でも、オフィスと同じような作業環境が整うため、通勤時間の削減や、ワークライフバランスの向上が期待できます。

また、時短勤務などの多様な働き方も実現しやすくなります。クラウドツールを使えば、勤務時間が異なる社員同士でも、スムーズに業務の引き継ぎや情報共有ができます。

さらに、育児や介護との両立も容易になります。従来なら仕事との両立が難しかった状況でも、柔軟な働き方によって継続して働けるように。つまり、貴重な人材の流出を防ぐことにもつながるのです。

このような柔軟な働き方は、人材確保にも効果的です。多様な働き方を選べる環境は、優秀な人材を採用するための魅力の1つとなります。また、地理的な制約も少なくなるため、より広い範囲から人材を採用できるというメリットももたらします。

このように、ICT化による柔軟な働き方の実現は、社員の満足度向上と、企業の持続的な成長の両方に貢献する大切な要素といえるでしょう。

ICT化のデメリット

注意

ICT化には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題も存在します。主なデメリットを3つ紹介しましょう。

  • 導入コストの問題 

新しいツールやクラウドサービスの導入には、相応の費用が必要です。SaaS型(クラウド型)の定額制サービスでは継続的な支払いが生じ、また、社員教育費もかかります。特にリソースの限られる中小企業にとっては大きな課題となりますが、IT導入補助金の活用や、スモールスタートが可能なクラウドサービスの選択が有効です。

  • セキュリティリスクの増大

便利になる反面、情報セキュリティのリスクは高まります。インターネット接続が必須となるため、外部からの不正アクセスや情報漏洩の危険性が増します。特にテレワーク環境では、より慎重な情報管理が求められます。

  • 社員の技術格差

ICTツールを使いこなせない社員への対応が課題となります。特にデジタルツールに不慣れな社員やベテラン社員は、新しいシステムへの適応に時間を要する場合があります。このような状況は、ツールの形骸化という失敗にも繋がりかねません。そのため、丁寧な教育や、現場の意見を反映したツール選定が回避策となります。

これらの課題に対しては、事前の十分な準備と計画的な対策が重要です。デメリットを理解した上で、自社に合った方法でICT化を進めていくことが成功への鍵となります。次からそれぞれのデメリットとその対策について、詳しく解説していきます。

ICTの導入にコストがかかる

ICT化を進める際に最初に直面する課題が、導入コストの問題です。具体的にどのような費用が必要になるのか、見ていきましょう。

まず、新しいツールやクラウドサービスの導入費用があります。近年のサービスは月額や年額で料金を支払うサブスクリプション型が主流で、継続的なコストが発生します。また、それらを使うためのパソコンやタブレットといった機器の購入費用も必要です。

次に、環境整備のための費用があります。社内のネットワーク環境を整えたり、セキュリティ対策を施したりするための投資が必要になります。

さらに、社員教育にかかる費用も見逃せません。新しいツールの使い方を学ぶための研修費用や、マニュアル作成の費用なども考慮しなければなりません。

ただし、こうした費用負担を軽減する方法もあります。中小規模の事業者に対し、国や自治体によるIT導入補助金などの支援制度(IT導入補助金2025)が設けられるケースもあります。また、無料プランから始めて段階的に導入を進める方法も検討可能です。

ICT化の費用対効果をしっかり計算し、自社の予算に合った導入計画を立てることが大切です。

セキュリティリスクが高まる

ICT化によって業務の利便性は向上しますが、同時にセキュリティ上の新たなリスクも生まれます。どのようなリスクがあるのか、詳しく見ていきましょう。

最も注意が必要なのは、外部からの攻撃リスクです。ICT化には必然的にインターネットへの接続が伴うため、サイバー攻撃や不正アクセスの標的になる可能性が高まります。例えば、重要なデータを盗まれたり、システムを乗っ取られたりするリスクがあります。

また、情報漏えいのリスクも無視できません。特にテレワークなど、社外での作業が増えると、機密情報が外部に流出するリスクが高まります。社員が意図せず情報を漏らしてしまうケースも考えられます。

これらのリスクに対しては、適切な対策が欠かせません。例えば、以下のような取り組みが重要です。

  • 強固なセキュリティソフトの導入
  • データの暗号化
  • 定期的なバックアップ
  • 社員への安全教育

セキュリティ対策は、一度行えば終わりではありません。新しい脅威に対応するため、継続的な見直しと更新が必要です。ICT化を進める際は、セキュリティ対策の予算と体制も併せて検討することが大切です。

使いこなせない人への配慮が必要となる

ICT化を進める際の大きな課題の1つが、デジタル機器やソフトウェアを使いこなせない社員への対応です。この問題にどう取り組むべきか、具体的に見ていきましょう。

特に注意が必要なのは、勤務年数の長い社員への配慮です。長年アナログな方法で仕事をしてきた人にとって、急激なデジタル化は大きな負担となります。新しいツールの使い方を覚えるのに時間がかかり、ストレスを感じる可能性もあります。

また、一部の社員が新しいシステムに難色を示すと、導入のスピードが遅くなることも考えられます。これは会社全体の業務効率に影響を与える可能性があります。

このような課題に対しては、以下のような対応が効果的です。

  • わかりやすい研修プログラムの実施
  • 段階的な導入による負担軽減
  • ICT化の必要性を丁寧に説明
  • パイロット導入(試験的導入)を実施し、成功体験を共有することで、効果を実感してもらう

大切なのは、「なぜICT化が必要なのか」を論理的に説明し、全員の理解を得ることです。また、使いやすいツールを選び、誰もが無理なく使えるような環境づくりを心がけましょう。

時間はかかりますが、社員全員が新しい仕組みになじめるよう、粘り強くサポートしていくことが成功への近道となります。

ICT化を進める上でのポイント

point

ICT化を効果的に進めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、成功に導くための6つのポイントを詳しく解説します。

  • 目的の明確化

まず重要なのは、なぜICT化を行うのかという目的を明確にすることです。単なる流行りものとして導入するのではなく、自社の課題解決や業務改善にどう役立てるのかを具体的に定める必要があります。

  • ITリテラシーの向上

社員のITスキル向上は不可欠です。使い方の研修やマニュアルの整備、相談窓口の設置など、誰もが安心して利用できる環境を整えましょう。特に、セキュリティ面での教育は重要です。

  • セキュリティ対策の徹底

情報漏えいや不正アクセスを防ぐため、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。アンチウイルスソフトの導入や、データの暗号化、定期的なバックアップなど、複数の対策の組み合わせをおすすめします。

  • PDCAを回して効果測定する

導入後は定期的に効果を測定し、PDCAサイクルを回すことが大切です。当初の目標が達成できているか、新たな課題は生まれていないかを確認し、必要に応じて改善を図りましょう。

  • 現場の意見を重視

実際に使う現場の声に耳を傾けることも欠かせません。使い勝手の悪いツールを導入してしまうと、業務効率が逆に低下する可能性があります。導入前の意見収集と、導入後の定期的なフィードバックを心がけましょう。

  • 適切な予算配分

自社の予算に見合ったツールを選択することが重要です。月額・年額・従量課金など、さまざまな料金体系がありますので、必要な機能と予算のバランスを考慮して選びましょう。無料版やトライアル期間を活用して、実際の使用感を確認するのもおすすめです。

これらのポイントを押さえた上で、計画的にICT化を進めることで、スムーズな導入と効果的な活用が期待できます。次からこれらのポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。

ICT化導入の目的を明確にする

ICT化を成功させる第一歩は、導入の目的を明確にすることです。なぜそのツールが必要なのか、どのような効果を期待するのか、具体的に見ていきましょう。

目的が不明確なまま導入を進めると、いくつかの問題が起こりやすくなります。例えば、「とりあえずデジタル化」という考えで進めると、実際の業務に合わないツールを選んでしまったり、似たような機能を持つツールを重複して導入したりするおそれがあります。

効果的な目的設定のためには、以下のポイントを押さえましょう。

  • 現在の課題を具体的に洗い出す
  • 導入後のゴールイメージを明確にする
  • 期待する効果を数値化する
  • 実現可能なスケジュールを立てる

また、目的を設定する際は、経営層だけでなく現場の意見も取り入れることが大切です。実際に使う人たちのニーズを理解すれば、より実践的な目標設定ができます。

このように、しっかりとした目的設定があってこそ、ICT化による本当の効果が得られるのです。「なぜ導入するのか」という基本に立ち返り、計画的に進めていきましょう。

中小機構の「中小企業の DX 推進に関する調査(2024 年)」によると、中小企業がICT化やDXを推進する主な理由は以下の通りです。

  1. コスト削減と生産性向上(38.8%)
  2. 業務プロセスの自動化と効率化(38.6%)
  3. データの一元管理と、データに基づく迅速な意思決定(26.2%)
  4. 働き方改革によって多様な働き方を可能にする(23.1%)

社内のITリテラシーを高める

ICT化を効果的に進めるためには、社員のITリテラシー(情報技術を使いこなす能力)の向上が欠かせません。具体的な取り組み方を見ていきましょう。

まず、基本的な対策として以下のような取り組みが効果的です。

  • わかりやすい利用マニュアルの作成
  • 段階的な研修プログラムの実施
  • 相談窓口の設置
  • 部署ごとの担当者の配置

特に気をつけたいのが、セキュリティに関する教育です。ITリテラシーが低いままツールを使用すると、情報漏えいなどの事故につながる可能性があります。基本的な操作方法だけでなく、セキュリティ意識の向上も必要です。

また、以下のような工夫も有効です。

  • 社内での勉強会の開催
  • e-ラーニングの活用
  • 初心者向けの簡易マニュアルの用意
  • ベテラン社員による個別サポート

教育を進める際は、社員それぞれの習熟度に合わせた対応を心がけましょう。全員が同じペースで上達するわけではないため、個人の状況に応じたフォローが大切です。

このように、ITリテラシーの向上は、ICT化の成功に欠かせない要素です。地道な取り組みになりますが、全社員が安心して新しいツールを使えるよう、継続的なサポートを行いましょう。

セキュリティ対策は万全にしておく

ICT化を進める上で、セキュリティ対策は最も重要な要素の1つです。適切な対策を講じることで、安全に業務を進められる環境を整えられます。

セキュリティ対策として、以下のような取り組みが必要です。

  • アンチウイルスソフトの導入

データを守るための基本的な対策として、信頼できるアンチウイルスソフトの導入が不可欠です。

  • データの暗号化

重要な情報を扱う際は、適切な暗号化を行い、第三者による不正アクセスを防ぎます。

  • 定期的なバックアップ

システムの故障や事故に備え、重要なデータは定期的にバックアップを取る習慣をつけましょう。

  • アクセス権限の管理

社員ごとに適切なアクセス権限を設定し、情報へのアクセスを必要な範囲に制限します。

また、以下のような日常的な取り組みも重要です。

  • パスワードの定期的な変更
  • 不審なメールへの注意
  • セキュリティアップデートの実施

このように、複数の対策の組み合わせにより、さらに安全な環境を作ることができます。セキュリティ対策は一度行えば終わりではなく、継続的な見直しと改善が必要です。

PDCAを回して効果測定する

ICT化を成功に導くためには、導入後の効果測定と継続的な改善が欠かせません。PDCAサイクルを活用した具体的な進め方を見ていきましょう。

  • Plan(計画)

    まず、以下の項目を明確にします。
    • 達成したい目標
    • 期待される効果
    • 測定する重要業績評価指標(KPI)
    • 評価のタイミング
  • Do(実行)

    計画に基づいて実施します。
    • ツールの導入と策定
    • 社員への教育・研修の実施
    • 運用ルールの周知徹底
  • Check(評価)

    定期的に以下の点を確認します。
    • 目標達成の度合い
    • 現場での使用状況
    • 問題点や課題
    • 予想外の効果
  • Act(改善)

    評価結果をもとに改善を行います。
    • 使い方の見直し
    • ルールの調整
    • 新たな目標設定

このサイクルを繰り返すことで、より効果的なICT活用が可能になります。また、定期的な見直しにより、新たな活用方法や課題が見つかるケースも多いものです。見直しについてはKPTを利用するといいでしょう。

  • Keep(良かったこと・継続したいこと):今回の取り組みで成果が出たこと、うまくいったこと、今後も続けたい進め方などを挙げます。
  • Problem(問題点・改善したいこと):期待した効果が出なかったこと、課題と感じたこと、うまくいかなかった進め方などを具体的に挙げます。
  • Try(次に取り組むこと):Problemで挙がった課題を解決するために、次に具体的に試すこと、挑戦することをアクションプランとして決定します。

効果測定は数値化できるものだけでなく、社員の満足度や業務のしやすさなど、定性的な面も含めて評価する工夫が大切です。

現場の意見を聞く

ICT化を進める上で、実際に使う現場の意見を取り入れることは外せないポイントです。なぜ現場の声が大切なのか、どのように活用すべきか、具体的に見ていきましょう。

現場の声を聞くことの重要性

  • 日々の業務プロセスを最もよく理解しているのは現場の社員
  • 実際の使いやすさは現場でしかわからない
  • 現場のニーズに合わないツールは活用されにくい
  • 導入後の改善点も現場から見えてくる

効果的な意見収集のポイント

  • 導入前の丁寧なヒアリング
  • 部署ごとの要望の把握
  • 定期的なアンケートの実施
  • 改善提案を受け付ける仕組みづくり

また、以下のような取り組みも効果的です。

  • 試験的な導入期間の設定
  • 現場リーダーとの定期的なミーティング
  • 使用状況の定点観測
  • フィードバックを活かした改善

現場の声を無視してツールを導入すると、かえって業務の非効率を招く恐れがあります。「現場が使いやすい」という視点を常に持ち、継続的な改善を心がけることが、ICT化成功の鍵となります。

予算に合ったツールを選ぶ

ICT化を進める際は、予算に見合った適切なツール選びが肝心です。費用対効果を考慮しながら、どのように選べばよいのか、具体的に見ていきましょう。

ツール選びのポイント

  • 必要な機能の洗い出し
  • 予算枠の設定
  • 支払い方法の確認
  • 拡張性の検討

料金体系の種類

  • 月額課金
  • 年間契約
  • 従量課金
  • 初期費用+利用料
  • 完全無料

効果的な導入方法

  • 無料版での試験運用
  • トライアル期間の活用
  • 段階的な機能追加
  • 複数ツールの比較検討

特に中小企業では、以下のような工夫も有効です

  • 無料プランのあるツールからのスタート
  • 必要最小限の機能からスモールスタートし、徐々に活用範囲を広げていく
  • 補助金制度の活用(IT導入補助金2025)
  • 費用対効果の定期的な見直し

予算は重要ですが、機能面での妥協は慎重に検討する必要があります。安価なツールを選んだために必要な機能が使えず、かえって非効率になることも。最初は基本的な機能から始めて、徐々に拡張していく方法も検討してみましょう。

なおツール選定には、どのツールから導入すべきか優先順位をつけるためのシンプルなフレームワーク「RICEスコアリング」が便利です。

  • Reach(影響範囲): そのツールがどれくらいの人数・業務に影響を与えるか。
  • Impact(効果の大きさ): そのツールがどれくらい大きな効果(効率化、コスト削減など)をもたらすか。
  • Confidence(確信度): そのツールが期待通りの効果を出すことへの確信度はどれくらいか。
  • Effort(労力): そのツールの導入・運用にどれくらいの労力(コスト、時間)がかかるか。
  • Score = (Reach × Impact × Confidence) / Effort で優先度を評価。

ICT化の具体的な進め方

step

ICT化を成功させるためには、計画的な進め方が重要です。ここでは、具体的な進め方を5つのステップで説明します。

【Step1:準備・計画】 まず重要なのは、しっかりとした計画づくりです。以下の点を明確にしましょう。

  • 解決したい具体的な課題
  • 導入の目的と期待する効果
  • 対象となる業務範囲
  • 必要な予算
  • 推進体制

【Step2:業務フローの見直し】 現在の業務の流れを確認し、以下を検討します。

  • 現状の業務プロセスの把握
  • ICT化による影響範囲の特定
  • 必要となる業務の変更点
  • 現場からの要望の収集

【Step3:環境構築】 実際のICT環境を整備します。

  • 必要なソフトウェアの導入
  • ハードウェアの準備
  • セキュリティ対策の実施
  • 利用ルールの設定

【Step4:社員教育】 円滑な導入のため、以下を実施します。

  • ICT化の必要性の説明
  • 具体的な操作方法の研修
  • サポート体制の確立
  • マニュアルの整備

【Step5:検証する】 導入後は定期的に以下を確認します。

  • 目標達成状況の確認
  • 社員からのフィードバック収集
  • 問題点の把握と改善
  • PDCAサイクルの実施

これらのステップは順番に進めるべきですが、必要に応じて前のステップに戻って見直す姿勢も重要です。特に最初の計画段階では、十分な時間をかけて検討することをおすすめします。

次からそれぞれのステップについて、詳しく解説していきます。

1. 準備・計画

ICT化を成功させるための第一歩は、しっかりとした準備と計画です。ここでは、計画段階で押さえるべきポイントを詳しく解説します。

まず重要なのは、具体的な課題の洗い出しです。例えば

  • 請求書作成に時間がかかりすぎる
  • 顧客情報の共有がスムーズでない
  • 書類の保管スペースが足りない

など、現状の問題点を具体的にリストアップしましょう。

次に、計画に盛り込むべき要素を確認します。

  • 導入の目的と期待する効果
  • 対象となる業務範囲
  • 必要な予算
  • 実施スケジュール
  • 推進体制

特に注意したいのは、自社の課題に合ったシステムやサービスを選ぶことです。せっかく最新のツールを導入しても、実際の課題解決につながらなければ意味がありません。

また、組織全体の合意の獲得も欠かせません。経営層から現場まで、ICT化の必要性について理解を深めることで、スムーズな導入が可能になります。

じっくりと時間をかけて計画を立てることで、後々の混乱を防ぎ、効果的なICT化を実現できます。

2. 業務フローの見直し

ICT化を進める上で重要なステップが、現在の業務フローの見直しです。なぜ見直しが必要なのか、どのように進めるべきか、具体的に解説します。

業務フロー見直しのポイント

  • 現状の作業手順の確認
  • 無駄な工程の洗い出し
  • 部署間の連携状況の把握
  • 情報の流れの整理

見直し時の重要な視点

  • ICT化による影響範囲の特定
    • どの部署に影響があるか
    • 業務内容がどう変わるか
    • 必要となる研修は何か
  • 現場の意見収集
    • 日々の業務での困りごと
    • 改善のアイデア
    • 導入への不安や懸念

このように業務フローを丁寧に見直すことで、以下のメリットが得られます。

  • より効果的なツール選び
  • スムーズな導入の実現
  • 予期せぬ問題の防止

見直しの過程で現場の声を積極的に取り入れることで、実態に即したICT化が可能になります。時間はかかりますが、この段階での入念な確認が、成功への近道となります。

3. 環境構築

計画が固まったら、次は実際のICT環境を構築していきます。ここでは、安全で効果的な環境構築のポイントを解説します。

環境構築の主な要素

  • ハードウェアの整備
    • 必要なパソコンやタブレットの準備
    • ネットワーク機器の設置
    • バックアップ機器の確保
  • ソフトウェアの導入
    • 業務に必要なアプリケーションの設定
    • クラウドサービスの契約
    • 必要なライセンスの取得
  • セキュリティ対策
    • アンチウイルスソフトの導入
    • ファイアウォールの設定
    • データの暗号化対策
  • 利用ルールの整備
    • アクセス権限の設定
    • パスワード管理のルール
    • データ保存・管理ルール策定

多くのサービスでは、導入サポートを受けられる場合もあります。専門家のアドバイスを活用することで、より安全で効率的な環境構築が可能です。

重要なのは、使いやすさと安全性のバランスです。便利すぎて安全性が低下したり、逆に厳重すぎて使いづらくなったりしないよう、適切な設定を心がけましょう。

4. 社員教育

ICT化の成功には、適切な社員教育が欠かせません。ここでは、スムーズな導入のための教育方法について解説します。

教育を行う際の重要ポイント

  • 目的と意義の説明
    • なぜICT化が必要なのか
    • どんな課題を解決できるのか
    • 導入後のメリット
    • 会社の将来像
  • 具体的な研修内容
    • 基本的な操作方法
    • データの取り扱い方
    • セキュリティルール
    • トラブル時の対応
  • サポート体制の確立
    • 相談窓口の設置
    • マニュアルの整備
    • 担当者の配置
    • フォローアップ研修

特に気をつけたいのは、社員の不安や抵抗感への対応です。「今までのやり方で十分」という意見に対しては、ICT化による具体的なメリットを示しながら、丁寧に説明することが大切です。

また、年齢や経験に応じて、きめ細かな支援を行うことも重要です。すべての社員が安心して新しいシステムを使えるよう、段階的な教育を心がけましょう。

導入後のサポートも忘れずに計画し、継続的なフォローアップを行うことで、より効果的な活用が可能になります。

5. 検証する

ICT化は導入して終わりではありません。目的達成のために、定期的な効果検証と改善が必要です。ここでは、具体的な検証方法と改善の進め方を解説します。

効果検証のポイント

  • 定点観測の実施
    • 業務効率の変化
    • コストの削減状況
    • 社員の満足度
    • 顧客サービスの質
  • データの収集方法
    • 社員へのヒアリング
    • アンケート調査
    • 業務データの分析
    • システムログの確認
  • PDCAサイクルの実践
    • 計画との差異確認
    • 問題点の洗い出し
    • 改善策の検討
    • 実行計画の立案

特に重要なのは、現場の声を聞くことです。実際に使用している社員からの生の声は、システムの改善に不可欠な情報源となります。

何らかの支障が生じた際には、すぐに対応することが大切です。小さな課題でも放置すると、大きな問題に発展する可能性があります。

このように、継続的な検証と改善により、ICT化の効果を最大限に引き出すことができます。定期的なチェックを習慣化し、より良いシステム活用を目指しましょう。

なお中小機構の「中小企業の DX 推進に関する調査(2024 年)」では、DXを実施した中小企業の約81.6%で成果が現れていると報告されています。具体的な成果としては、以下のようなものが挙げられています。

  1. 業務の自動化と効率化:事務作業の50%削減、見積書作成時間の短縮などの成果
  2. コスト削減と生産性向上:残業時間の70%削減などの実績
  3. 働き方改革:100%テレワーク体制の実現、ペーパーレス化の達成
  4. データ活用の高度化:販売データを用いた粗利分析、迅速かつ的確な意思決定

なぜICT化において最重要なのは「情報共有」

タブレットで情報を広げてる人

ICT化によって業務効率が向上し、多様な働き方が可能になることはご理解いただけたかと思います。しかし、数あるICT化の取り組みの中でも、企業が持続的に成長していくために、特に力を入れて整備すべきは「情報共有」の仕組みです。

社内では、貴重な情報やノウハウが、特定の個人のパソコンの中や頭の中に眠ったままになっていませんか? 『あの件はAさんに聞かないと分からない』『過去の類似案件の資料がどこにあるか不明』といった状況は、実は多くの企業で日常的に起こっている問題です。

情報共有がうまくいかない組織が直面する、見過ごせない課題

情報共有の不備は、目に見えにくいコストを生み出し、組織の成長を静かに蝕んでいきます。具体的には、以下のような課題が顕在化しやすくなります。

  • 属人化の進行と業務停滞リスク

    特定の社員しか業務プロセスや重要なノウハウを把握していない状態は、その社員の不在時や退職時に業務が滞る大きなリスクとなります。引き継ぎにも膨大な時間がかかり、組織全体の業務継続性が脅かされます。
  • 意思決定の遅延と機会損失

    必要な情報がすぐに見つからなければ、迅速な意思決定は望めません。市場の変化が激しい現代において、判断の遅れは致命的なビジネスチャンスの損失につながりかねません。
  • 生産性の低下と無駄なコストの発生

    同じような問い合わせが何度も繰り返されたり、過去に作成した資料を探すのに多大な時間を費やしたりするのは、典型的な生産性の低下です。社員は本来集中すべきコア業務に時間を割けず、人件費という「見えないコスト」が積み重なっていきます。
  • イノベーションの停滞と組織の硬直化

    部門間で情報が分断されていると、新しいアイデアや部門横断的な改善提案は生まれにくくなります。組織は新しい変化に対応できず、徐々に競争力を失っていく可能性があります。
  • 社員のモチベーション低下とエンゲージメントの低下
    必要な情報が手に入らず仕事が進めにくい環境や、自分の持つ知識や経験が組織内で共有・評価されない状況は、社員のモチベーションを著しく低下させます。結果として、会社への貢献意欲やエンゲージメントも下がり、人材流出のリスクも高まります。

ICTを活用した「効果的な情報共有」がもたらす組織変革

では、これらの課題を解決し、組織を強化するためにはどうすればよいのでしょうか。その答えが、ICTを活用した「効果的な情報共有」の実現です。情報共有の仕組みを整えることで、企業は以下のような大きな変革を期待できます。

  • 業務効率の飛躍的な向上

    必要な情報に誰もが迅速にアクセスできるようになることで、資料探しや問い合わせにかかる時間が大幅に削減されます。社員はより創造的な業務に集中でき、組織全体の生産性が向上します。
  • 組織全体の知識レベル向上と人材育成の加速

    個人の持つ貴重な知識や経験(暗黙知)が、組織全体で共有・活用できる形(形式知)に変わります。これにより、新入社員や若手社員の早期戦力化、ベテラン社員のノウハウ継承がスムーズに進み、組織全体の知識レベルが底上げされます。
  • 迅速かつ的確な意思決定の実現

    必要なデータや過去の経緯がすぐに参照できるため、勘や経験だけに頼らない、客観的な根拠に基づいた意思決定が可能になります。
  • コラボレーションの促進とイノベーションの創出

      部門の壁を越えて情報が流通することで、社員同士のコミュニケーションが活性化し、新たなアイデアや部門横断的なプロジェクトが生まれやすくなります。風通しの良い企業文化が醸成され、イノベーションが加速します。
  • 顧客満足度の向上

    過去の顧客対応履歴や製品情報などがスムーズに共有されることで、より迅速で質の高い顧客対応が可能となり、顧客満足度の向上に繋がります。
  • 社員エンゲージメントの向上

    情報がオープンに共有され、自分の仕事が組織全体にどう貢献しているかが見えやすくなることで、社員の会社への信頼感や仕事へのやりがいが高まります。

効果的な情報共有を実現するICTツールの役割とは?

このような効果的な情報共有を実現するためには、それを支えるICTツールの導入が不可欠です。特に、以下のような機能を備えたツールが求められます。

  • 誰でも直感的に使える簡単な操作性
  • 必要な情報をすぐに見つけ出せる高度な検索機能
  • 文書やノウハウを効率的に蓄積・整理できるデータベース機能
  • リアルタイムでの情報共有や共同編集を可能にする機能
  • 円滑なコミュニケーションを促進する機能

これらの機能を備えた情報共有ツールを導入し、組織全体で活用していくことが、情報共有文化を醸成し、上記のような変革を実現するための第一歩となります。

そして、まさにこのような「効果的な情報共有」を強力にサポートするのが、情報共有ツール「DocBase」です。DocBaseは、誰でも簡単に情報をストックし、必要な時にすぐに見つけ出し、チーム全体で活用できる環境を提供します。

次の章では、DocBaseを活用した導入事例をご紹介します。`

ICT化が進む業界の具体例

ここでは情報共有ツール「DocBase」を利用したICT化の事例をご紹介します。

  • 医療クリニック業界
  • ウェディング業界
  • 商社

医療クリニック業界

<医療法人 風林会様におけるICT化のケース>

ICT化前の情報共有における課題

  • 多岐にわたる業務が属人化しており、担当者間の知識レベルに格差が生じていました。
  • 採用チームが拡大していく中で、業務上の意思疎通がスムーズに行えていませんでした。

ICTの実践

  • マニュアル作成と共有:情報共有ツール「DocBase」を活用し、業務マニュアルを一元的に作成・共有しています。DocBaseの使い方や、採用・人材管理ツールの使い方、過去の採用活動の進捗、対策、振り返りなどが投稿されており、人事課内で担当業務が変わっても必要な情報がわかるようになっています。メモを投稿する際は、必ず他の関連メモにリンクするルールも設けています。
  • 議事録の共有:外部の方とのミーティング議事録や、セミナー内容を人事課内で共有することで、不参加メンバーでも内容を把握できるようにしています。
  • 新人スタッフへの連絡:現場の新人スタッフ約100名への業務連絡(集合場所や持ち物など)に活用されています。以前はメールで個別に連絡していましたが、DocBaseに情報を書き、外部共有URLを使って一斉周知するようになりました。これにより、不特定多数への連絡が格段にしやすくなり、情報の修正も容易になりました。

効果と変化

  • 業務の属人化が解消され、知識レベルの統一が図られました。マニュアルが常に最新にアップデートされるため、どのタイミングで入ったメンバーでも最新の状態を把握できます。
  • 人事課内での新人教育にかかる時間と手間が大幅に削減されました。新人スタッフはまずDocBase上のメモを読み、業務を進める中でわかりにくい点があればメモを編集して、わかりやすい内容にすることで、教育にかかる時間が圧倒的に短縮されたそうです。関連情報が紐づいているため、情報を探す手間も減りました。

事例を詳しく見る

新人スタッフへの100通超の業務連絡メールを削減「全国にスタッフがいる会社におすすめです」 | DocBase ナレッジ共有・情報共有ツール

ウェディング業界

<アールキューブ様におけるICT化のケース>

ICT化前の情報共有における課題

  • 情報は個人がEvernoteに残していたり、Chatworkに書かれていたり、実際のメモに貼られていたりと、バラバラに管理されており、共有するという意識があまりありませんでした。
  • 自分しか知らない情報がある状態でした。

ICTの実践

  • 「アールキューブ版ウィキペディアをDocBaseで作成 〜検索すればなんでも分かる〜」をテーマに活用しています。
  • メインの活用方法は、提携会場のデータベースです。100近くある提携会場の、会場レイアウト、料理メニュー、ドリンク内容、ゴミの捨て方、アクセス、連絡先、担当者、担当者の不在が多い曜日などの諸情報が、情報共有ツール(DocBase)に記録されています。また、会場名でタグ付けされています。
  • 会場ごとの席次データ(1会場あたり3パターンほど)もDocBaseに入力されています。
  • PDFやExcelなど、どんな形式のファイルでもアップロードしており、DocBaseを見れば画像も資料もダウンロードできるため、複数の格納場所を確認しなくて済むようになりました。

効果と変化

  • DocBaseを見れば画像も資料もダウンロードできるようになり、情報を探す手間が減りました。
  • 自分しか知らない情報を共有することで、みんなが同じクオリティのサービスを提供するという考えが生まれ始めました。
  • なんでも自分でやろうとするのではなく、DocBaseに共有して楽をしつつ、皆で同じ情報を持って、同じサービスやおもてなしをしようという意識が生じるようになりました。

事例を詳しく見る

アールキューブ版ウィキペディアをDocBaseで作成 〜検索すればなんでも分かる

商社

<双日株式会社様におけるICT化のケース>

ICT化前の情報共有における課題

  • 各々が手順書やメモを作成しても、時間が経つと引き継がれなかったり、格納場所がわからなくなったりするなど、人知れず埋もれていってしまうことに課題を感じていました。

ICTの実践

  • 「脱属人化」を目的に、決算業務などの手順書を整理・一元管理しています。
  • 会計・経理業務で複数のシステムを使うため、スクリーンショットを多用して、誰にでも分かりやすい手順書を作成しています。
  • フォルダ構成の代わりにタグやグループで分類し、メモを複数の場所に関連付けています。

効果と変化

  • 各人が培ってきたナレッジを一元管理できるようになりました。
  • メモの共有範囲は、課内、部内、組織横断と柔軟に設定できる点が便利だと感じています。
  • タグ付けをしっかりすることで検索が容易になり、格納場所に迷わなくなったという報告も。大分類、中分類にとらわれずに検索できる良さがあるそうです。
  • スクリーンショットを簡単に貼れるようになったことで、誰にとっても分かりやすい手順書が作成できるようになりました。

事例を詳しく見る

情報をDocBaseに残していくカルチャーができました双日株式会社様

ICT化にはDocBaseがおすすめ

DocBaseLP

ICT化を成功に導くためには、適切なツール選びが鍵となります。その点で、情報共有ツールのDocBaseは、多くの企業で高い評価を得ている注目のサービスです。

情報管理やコミュニケーション活性化に優れたDocBaseは、以下のような特徴を持っています。

  •  使いやすいインターフェース
  •  セキュアな情報管理機能
  •  スムーズな情報共有の実現
  •  柔軟なアクセス権限設定

すでに1万社以上の導入実績があり、大手企業から中小企業まで、幅広い規模の企業で活用されています。

この記事で解説したICT化による情報共有の円滑化は、まさにDocBaseが得意とする領域です。直感的なインターフェースで誰でも簡単に情報を蓄積・検索でき、部門間のサイロ化を防ぎ、組織全体の知識レベル向上に貢献します。

ICT化に興味を持たれた方は、まずDocBaseの無料トライアルの試用をおすすめします。実際に使ってみることで、自社に合った活用方法が見えてくるはずです。

自社のICT化の第一歩として、DocBaseの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

【ICT化を促進するDocBaseの主な機能や特徴】

主な用途 機能・特徴 詳細
1. 情報共有とナレッジ活用 柔軟な公開範囲設定 グループ機能でメモの公開範囲を限定/複数グループに公開。必要な情報が必要なメンバーに共有。
情報の再利用 差し込み機能で他のメモを簡単に参照・埋め込み。過去のアイデアや情報を再利用し、効率的なドキュメント作成。
外部共有 チーム外の人にもメモを共有可能(パスワード設定可)。クライアントなど外部との情報連携。
コラボレーション機能 コメント機能、グッジョブ機能、メンション通知。絵文字利用、コメントへのリアクション。チーム内での円滑なコミュニケーションと協力を支援。
既読メンバー表示 メモを誰が閲覧したかをアイコン一覧で確認。情報がチーム内で共有されたか確認。
2. 文書作成と編集の効率化 マルチエディター マークダウン、リッチテキスト、ハイブリッドエディターに対応。デジタルツールが得意な人も苦手な人も利用でき、簡単な操作で読みやすい記事を作成。
同時編集機能 複数メンバーが1つのメモを同時編集。議事録作成やアイデア出しの際に負担を分散し、情報の取りこぼしを減らす。
画像編集機能 画像に矢印やテキスト、モザイクなどを配置できるペイントモード搭載。DocBase内で画像編集と文書作成をワンストップで行える。マニュアルや手順書の作成がスムーズ。
テンプレート機能 日報や議事録など、よく使うフォーマットをテンプレートとして登録。日付やユーザー名の自動挿入など、変数のオプションも豊富。
その他編集機能 テーブル編集機能、画像サイズの変更や削除、PDF/ZIP等のファイルアップロード、TeX記法による数式記述、外部コンテンツ埋め込み(動画/スライド/Google Document等)、メモの変更履歴表示/復元、スライド表示機能。
3. 情報検索性の向上 豊富な検索機能 キーワード、グループ、タグなど、様々な条件を組み合わせて検索可能。
添付ファイル内検索 PDFやExcelなどの添付ファイルの内容も検索対象。
タグ機能 メモにタグ付けして分類でき、タグの編集・統合も可能。
4. 業務効率化全般 会議のペーパーレス化 資料を印刷する手間がなくなり、過去の資料確認も容易。
マルチデバイス対応 スマートフォンやタブレットからも閲覧・編集が可能。移動時間や現場など場所を選ばずに情報共有。
チャットサービス連携 SlackやChatworkなどの外部サービスと連携。必要な情報をリアルタイムで受け取れる。

監修

DocBase編集部
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