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共有できて、ワープロでもエディターでもない、いいところを狙っているツール株式会社人機一体 金岡克弥様

共有できて、ワープロでもエディターでもない、いいところを狙っているツール
  • DocBaseメンバー数 32人
  • お話を伺った人 金岡克弥博士

人機一体様の事業内容について教えてください。

我々はずっと「人間パワー増幅ロボット」というテーマでロボットの開発をしています。一般的にはロボットというと「自動・自律で、自分で判断して勝手に動く」というイメージがありますが、我々はそうではなく「人が自らの外部身体として自在に操ることのできるロボット」を作ろうとしています。人の力学的身体操作能力とコンピュータの情報処理能力を合わせて、ロボットの物理的、力学的な機能を最大限に発揮させようというのが我々の基本コンセプトです。最初は大学教員の立場で、研究として行なっていたのですが、今は株式会社人機一体を立ち上げて、ビジネスとして開発を続けています。

まず見ていただきたいのがこの「パワーエフェクタ」です。

これは 2004年から2005年にかけて作ったロボットで、2005年の「愛・地球博(愛知万博)」に出展しました。パワー増幅ロボットの「よくある」考え方に則って作った、いわゆるアイアンマン的な、パワードスーツのようなものですね。パワーエフェクタは自動ロボットではなく、人が操作して使うための「道具」です。人間の腕・指の力を何倍にも増幅させると同時に、卵を潰さずに持つような繊細な力加減も直感的に実現できます。大きな力を出しながらも、人の繊細なコントロールを効かせながら作業ができるというところが、パワーエフェクタのいいところです。

この技術を発展させて、人間が普段しているような、もっと複雑な作業をしたいと思うようになったんですが、メカとして実現するのがすごく難しい。このパワーエフェクタは片腕だけのロボットアームですが、両腕にしたい、ねじる動きがしたい、あるいは脚もつけたい…となると加速度的に難しくなる。パワーエフェクタでは、アームを水平旋回させる方向にはモータが入っていませんが、もし入れるとなると途端に操作が怖くなります。万一モータが暴走してしまうと、使っている人間がなぎ倒されてしまうかもしれません。

パワーエフェクタは、腕の動きだと約50倍、指先だと約1000倍まで人間の力を増幅しますが、さらに1万倍、10万倍に増幅したいと思ったときに、そんな大出力モータを人の体に直接つけるのか。そして複雑な動作をしようとするとモータの数も増やさなければならない。

それが非現実的であることに気付き、我々は方向転換しました。ロボットを触っていることが問題なのであれば、触らないようにしようと。それが2009年頃です。人の直感的な操作はそのままに、機械的には分離して、人が安全に作業できるようにしたいと考え、マスタスレーブシステムに行き着きました。

この MMSEBattroidは人が操作する部分(マスタ装置)と操作される部分(スレーブ装置)が機械的には分かれています。つまり、ロボット本体とコントローラは離れていて、電気的にしか繋がっていないのですが、マスタスレーブシステムによって、まるで機械的に繋がっているかのように動作するのです。それを通信とロボット制御技術で実現しています。

マスタスレーブシステム自体は我々のオリジナルではなく昔からある枯れた技術なのですが、我々のようにパワー増幅ロボットでマスタスレーブシステムを使う例はほとんどありませんでした。一般的なマスタスレーブは、遠隔操作の文脈なんです。テレオペレーション、いかに遠くのものを操るかです。一般的には日本からアメリカのロボットを操作するだとか、人工衛星のロボットを操作するだとか、都市部にいる医者が過疎地にいる患者を手術するだとかの技術だと捉えられています。ですが我々は遠隔操作ではない文脈、しかもパワー増幅という文脈でマスタスレーブシステムを使うことを始めました。2009年から少しずつ技術を積み重ね、2014年に、人型上半身の試作機であるMMSEBattroidを完成させました。

現在は、全身の試作機として、人型重機の開発に取り組んでいます。

DocBaseを導入した理由を教えてください。

文章をいかに蓄積するかは悩ましいところですね。2015年10月までは私一人で開発していて、某メモツールを使っていたんですが、ドキュメント数が増えてくると重くなってくる、文章のフォーマットが自由すぎて統制がとれない、などいろいろ目に付くようになりました。我々は、ワープロのように「書類」を蓄積したいのではなく「情報」を蓄積したい。情報としてテキストの構造化は必要ですが、見た目の書式情報は必要ない。かといってエディタで書くのも違うなと。「複数人で共有できて、ワープロでもエディタでもない、いいところを狙っているツール」が欲しくて、それを考えるとDocBaseはぴったりだったんです。共有という点ではバッチリですし、DocBaseはフォントの指定ができないでしょう? それがいいんですよ(笑)。フォントには人それぞれ好みがありますし、人によってドキュメントの見た目が変わってきて統一性がなくなるので、最初から指定できない方がいい。Markdownで書けるのも嬉しいです。私は研究者で、もともとLaTeX形式でドキュメントを書いていたので、Markdownにもすんなり馴染めました。そして、数式が書ける!これはすごくいいですね。むしろ共有しなくていい論文の下書きメモとしてもDocBaseを使っているぐらいです。

DocBaseをどのように利用されているか教えてください。

人機一体社の社員と、開発に協力してくださっている他社のメンバーとで使っています。

基本的に、社のドキュメントはすべてDocBaseに書いています。開発日誌や、こういう機器を買いましたとか、備品管理とか。業務上のルールなどは事務の女性たちが書いてくれています。

Markdownで表が書けるのも助かっています。文章の中でちょっと表が書きたいときに、Wordだとちょっと大げさすぎる。テキストで表が書けるって、なんて素晴らしいんだろう! と思います。

ダッシュボードが階層構造になっていないところもシンプルで素晴らしいですね。階層構造にすると余計にややこしくなるじゃないですか。DocBaseはベタに並んでいて、よく更新するものだけが上がってくる。私が考える理想のシステムにかなり近くて、使いやすいです。

タグは今のところ積極的には活用していないですね。なぜかというと、それぞれのメンバーが好きにタグをつけているとどんどん増えて管理できなくなるからです。もしタグを使うなら、会社としてタグを決めて管理するという形でやりたいと思っています。いまはメモのタイトル規則を決め、主に検索機能を使ってカテゴライズしています。

DocBaseを導入することで組織に起きた変化があれば教えてください。

我々は、人機一体社の立ち上げのときからDocBaseを使っているので、そもそもDocBaseがないと回らないですね。今のところ他のツールを使うのは考えられません。例えばEvernoteのフォーマットだと他で使い回しにくいんですね。でも、MarkdownならLaTeXにも書き出せますし、プレーンテキストでも送れます。DocBaseのメモはPDFに書き出しても綺麗で、印刷物としても十分配布に耐えますね。

組織やチームを成長させるためのカイゼン活動があれば教えてください。

我々は零細スタートアップで、基本的に日々のことに追いまくられているのですが、環境をきちんと作るということは大事だと思っています。人機社 6Sというのを決めていて、いわゆるトヨタの 5S(のパクリ)です。情報を蓄積して、過去の情報にいつでもどこでもアクセスできる仕組を早い段階で整備して、あらゆる書類・機器備品を統一的な方針で整えていきましょうということを会社として進めています。あるべきものがあるべきところにちゃんとあるようにする。いまはまだ、仕組づくりで試行錯誤している途中ですが、最終的に実現したいのはそこですね。我々のロボットの開発の成否も、そこにかかっていると思っています。

この事例のポイント!

「複数人で共有できる、シンプルなドキュメント作成ツール」として、DocBaseがぴったりだった。

掲載日:2018年07月16日

監修

DocBase編集部
DocBase編集部

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