テレワークの問題をICTツールで解決!ICTツール市場や導入ポイント
テレワークを導入する企業が増えている中で、これまでのオフィスワークを前提としていた働き方では対応できないテレワークに関する問題点が生じています。テレワークによって生じる課題をいち早く解決し、より良いテレワーク環境を構築する方策の一つに「ICTツールの活用」があります。
この記事ではテレワークの問題を解決するICTツールの概要や導入ポイント、ICTツールのビジネスにおける有効性についてご紹介します。
目次
テレワークが抱える問題点とICTツールでの解決策
テレワークが抱える問題には、主に下記のようなものが挙げられます。こうした問題点は、すべてICTツールを活用して改善を図ることが可能です。具体的に紹介していきます。
<テレワークが抱える問題点>
- コミュニケーションが取りにくい
- 情報漏洩が懸念される
- 業務管理が難しい
- 評価制度が現状と合わない
- ドキュメント共有がしづらい
- そもそもテレワーク可能な業務がない
1.コミュニケーションが取りにくい
【問題点】
テレワークでは在宅やサテライトオフィスなどで仕事をするため、オフィスワークのように直接コミュニケーションが取れなくなります。そのため業務連携が進まず、効率が低下する可能性があります。
【解決策】
テレワークにおけるコミュニケーションの活性化を図る手段として、ビジネスチャットツールやWeb会議システムなどのツールを活用することで改善できます。
2.情報漏洩が懸念される
【問題点】
テレワークを導入すると社外からPCやスマホ/タブレットで企業の情報にアクセスすることになるので、機密情報の漏洩リスクが懸念されます。
【解決策】
情報共有ツールや労務管理ツール、ビジネスチャットなどのICTツールには、アクセス制限や二段階認証、通信やデータの暗号化など情報漏洩を防止するためのセキュリティ機能が備わっているものもあります。ICTツールを選ぶ際には、セキュリティ機能が実装されているか確認することをお勧めします。
3.業務管理が難しい
【問題点】
直接、社員に接することができないため、勤怠や出社状況が見えづらくなり、管理が難しくなります。
【解決策】
ビジネスチャットでは、在席・離席表示が可能なので、常に業務状況が把握できます。また労務・勤怠管理ツールでは、出退勤の打刻や休暇申請・入退社の手続きなどがオンラインでもできる機能が提供されています。
4.評価制度が現状と合わない
【問題点】
直接、顔を合わせる機会がなくなることで、オフィスワークを前提としていた人事評価が適切ではなくなる可能性があります。
【解決策】
テレワーク向けの評価制度を新たに検討しましょう。「人物重視」の評価システムを用いているのであれば、「仕事や業績評価」の成果主義(目標管理制度)に移行させます。目標管理制度を実践していくためには、適切な目標設定や成果報告などが必要となるためドキュメント共有ツールやタスク管理ツールなどで目標や進捗などを見える化します。
5.ドキュメント共有がしづらい
【問題点】
対面でドキュメントをやり取りしていた業務が、テレワークによってやりづらくなります。
【解決策】
ドキュメント共有ツールを活用することで、オフィスワークと同じようにドキュメントのやり取りが可能です。セキュリティに配慮しているクラウド型アプリもありますので、情報漏洩を心配することなく、安心してドキュメントやデータの共有が可能です。
6.そもそもテレワークが可能な業務がない
【問題点】
業種・業態によっては、テレワークに適した業務がないという問題も起こりえます。
【解決策】
現行の業務がテレワークに適さないと考えられる場合は、業務の一部分だけでもICTツールを利用したテレワークができないかワークフローを見直してみることをお勧めします。テレワークでできる業務とそうでない業務を振り分けることで、例えば「午前中はオフィスで業務、午後からテレワークで在宅業務」といった柔軟な働き方が可能となります。
このように、テレワークで抱える問題は、ビジネスチャットやドキュメント共有、Web会議、勤怠管理といったICTツールを活用しながら、解決していくことが可能です。
各種ICTツールの詳細に関しては、下記サイトにて詳しくご紹介しておりますので、ご参照下さい。
テレワーク導入に欠かせない情報共有ツール!おすすめツールと使い方
データで見るICTツールの可能性
そもそもICTツールはビジネスにおいて、どの程度活用されているのでしょうか。ここでは2つのデータを紹介して解説していきます。
1.クラウド型アプリの市場拡大
ICTツールの中でも市場拡大を続けているのがクラウド型アプリです。クラウド型アプリでは、業務で活用するデータをクラウド上に置き、社内外からクラウドにアクセスして業務を行うことができます。自社にサーバーを置く必要がなく、セキュリティやアップデート、アカウント管理といった運用負荷が抑えられ、安価で利用できる点がメリットです。
2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(市場編)によると、クラウド型アプリに関連したSaaS(Software as a Service)とDaaS(Desktop as a Service)の市場については、拡大が続いているデータが発表されています。これまでICTツールの導入に及び腰だった企業も、テレワークをきっかけにしてクラウド型アプリの導入に着手する可能性が見て取れます。
2019年度見込 | 2023年度予測 | 2018年度比 | |
SaaS | 7,238億円 | 1兆574億円 | 168.6% |
DaaS | 276億円 | 468億円 | 199.1% |
パブリッククラウドの国内市場/『2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(市場編)』(富士キメラ総研プレスリリースより抜粋)
2.海外よりも低い導入状況と利用状況の高まり
『平成30年度版 情報通信白書』(総務省)の調査データ(「図表4-4-2-3 ビジネスICTツールの導入状況(国際比較)」)によると、ビジネスICTツールの導入・利用状況をアメリカ、イギリス、ドイツと比較した場合、日本は数値が低く、導入の伸びしろが残されていることが分かります。
ビジネスICTツールの導入状況(国際比較)/「積極的に使っている」、「あまり使っていない」、「まったく使っていない」を回答した比率 /単位(%)
日本 (n=714) | アメリカ (n=565) | イギリス (n=651) | ドイツ (n=678) | |
社内SNS | 23.5 | 64.1 | 53.6 | 45.7 |
テレビ会議、ビデオ会議 | 32.6 | 65.1 | 58.8 | 46.0 |
チャット(インスタントメッセンジャー) | 23.7 | 67.4 | 55.9 | 50.6 |
電子決裁 | 26.2 | 66.4 | 51.5 | 45.7 |
勤怠管理ツール | 37.1 | 66.2 | 52.7 | 57.4 |
プレゼンス(在席状況)管理ツール | 23.1 | 59.3 | 49.8 | 55.6 |
また『令和2年度 情報通信白書』(総務省/PDF)の調査データ(「図表5-2-1-18 クラウドサービスの利用状況」)では、クラウドサービスを利用している企業は2019年において約6割(全社的に利用している/一部の事業所または部門で利用している:太字部分)となっており、2015年の約4.5割と比較しても普及が進んでいます。
クラウドサービスの利用状況
2019年(n=2115) | 2015年(n=1821) | |
全社的に利用している | 36.1 | 22.8 |
一部の事業所または部門で利用している | 28.6 | 21.7 |
利用していないが今後利用する予定がある | 10.4 | 15.0 |
利用していないし、今後利用する予定もない | 17.9 | 30.0 |
クラウドサービスについてよく分からない | 6.9 | 10.4 |
これらのデータを見ると国内企業におけるICTツール普及の土壌はできていると考えられ、テレワークがICTツール普及の弾みとなることは間違いないでしょう。
テレワークにおけるICTツール導入のポイント
ICTツールを実際に導入しても、それが業務に活かされなくては何にもなりません。そこで、ICTツールを導入する際の2つのポイントをご紹介します。
<テレワークにおけるICTツール導入のポイント>
- どのようなICTツールが必要か分析する
- ICTツール導入による成果を焦らない
1.どのようなICTツールが必要か分析する
テレワークを推進するためにワークフローをしっかり分析し、どのようなICTツールが必要か検討していきます。ICTツールの利用に慣れていない企業の場合、ICTツールを活用するためにこれまでの業務フローそのものを見直して、変えていく必要もあるでしょう。
2.ICTツール導入による成果を焦らない
ICTツールを導入しても、その効果が業務にすぐに現れるとは限りません。短期的な視点で効果が見えないからと言って、使用を中断するのは避けるべきです。ICTツール活用にあたっては、成果を焦らず、業務の流れに溶け込ませることを目指しましょう。
ICTツール導入後も何かしらの問題が起こることを想定しながら、都度、問題に対応する必要があります。またICTツールにおける社員教育が必要となる場合もあるでしょう。導入して終わりにせず、導入から定着させていくためのフェーズも考慮しておくのがポイントです。
まとめ
ICTツールは、テレワークにおいて欠かすことができないツールです。ICTツールを導入する上で重要なポイントをまとめておきましょう。
<テレワークでICTツールを活用する上での重要なポイント>
- 「テレワークで抱える問題をICTツールで解決する」という社内理解がある
- 問題解決のためにどのようなICTツールが必要か分析する
- 導入で終わらず定着するまで利用を止めない
テレワークでのICTツール導入においては、継続的に業務やICTツールの見直しをしつつ、改善を図りながら利用価値を高めていきましょう。