テレワークに向いている仕事とは? どのように仕事は変わる?
働き方改革やコロナ禍によって普及が進むテレワークですが、これからテレワークの導入を考えている方にとっては、「テレワークに向いているのは、どのような仕事なのか」あるいは「テレワークで仕事がどのように変化するのか」という点は、あらかじめ理解しておきたいポイントなのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、これら2点を中心に「テレワークと仕事」に関するテーマについてご紹介します。
目次
業種別のテレワーク導入率を見てみよう
テレワークと仕事について理解する前に、まずは全体把握をする上で業種別のテレワーク導入率を見てみましょう。
総務省の「テレワーク総合情報サイト 『Telework Net』」に公開されているデータによると、業種によって差異はありますが、多くの業種でテレワークが導入されています。特徴的なのは、「情報通信業」や「金融・保険業」で4割以上のテレワーク導入率がある一方、「運輸・郵便業」はテレワーク導入率が低い結果となっている点です。
全体(n=2,118) | 20.2% |
建設業(n=303) | 22.5% |
製造業(n=359) | 21.1% |
運輸・郵便業 (n=339) | 11.7% |
卸売・小売業(n=305) | 20.1% |
金融·保險業(n=141) | 40.7% |
不動產業(n=132) | 25.4% |
情報通信業(n=252) | 46.5% |
サービス業(n=287)・その他(n=322) | 16.5% |
出典:「テレワーク総合情報サイト『Telework Net』」:業種別のテレワーク導入率(令和元年)を加工して作成
これは「情報通信業」や「金融・保険業」では、デスクワークが主でテレワークを導入しやすく、「運輸・郵便業」では物理的な移動を伴う仕事が含まれているためテレワークの導入が難しいためだと考えられます。
テレワークに向いている仕事って何だろう?
前述の業種別のテレワーク導入率から、デスクワークがテレワークに向いていることが分かりました。ではデスクワークでも、特にどのような仕事がテレワークに向いているのでしょうか。仕事を業務という観点から見てみましょう。総務省の『情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書(PDF)』P16では、テレワークで行う業務として、いくつかの例がリストアップされています。
- 資料の作成・修正及び管理(企画書、報告書、議事録等)
- 上司や同僚、顧客先や取引先等との連絡・調整(電話、メール等)
- 社内手続き
- 承認等の意思決定
- 電話、会議支援システム等を用いた社内会議(進捗会議、意見交換等)
- 電話、会議支援システム等を用いた社外関係者(取引先等)との会議
- 部下・後輩等への指導(メール、チャット、TV 電話)
- インターネット等からの情報収集(情報検索、調査等)
- 業務知識等の学習(e-learning、資料閲読等)
このうち「資料の作成・修正及び管理(企画書、報告書、議事録等)」「上司や同僚、顧客先や取引先等との連絡・調整(電話、メール等)」「社内手続き」「インターネット等からの情報収集(情報検索、調査等)」「業務知識等の学習(e-learning、資料閲読等)」は、とくにテレワークに移行しやすいものです。これらの業務は「個人の裁量で進められる仕事」や「すでにデジタル化されている仕事」と言えそうです。
また「承認等の意思決定」「電話、会議支援システム等を用いた社内会議(進捗会議、意見交換等)」「電話、会議支援システム等を用いた社外関係者(取引先等)との会議」「. 部下・後輩等への指導(メール、チャット、TV 電話)」は、デジタル化によってテレワークが可能になるものです。これらの業務は「現状デジタル化されていないがデジタル化が可能な仕事」と言えそうです。
テレワークに向いてない仕事は、特定の場所でオペレーションの必要なものが考えられます。前述した物理的な移動を伴う仕事や工場据え置きの機械を扱う仕事、研究・開発室など特別な環境下で行う仕事などは、仕事の工程にデスクワークが含まれていてもテレワークが難しいでしょう。
こうして見てみるとテレワークに向いている仕事は
- 「個人の裁量で進められる仕事」や「すでにデジタル化されている仕事」→テレワークに移行しやすい
- 「現状デジタル化されていないがデジタル化が可能な仕事」→環境が整えばテレワーク可能
- 「特定の場所でオペレーションの必要な仕事」→テレワークが難しい
といったとらえ方ができそうです。
テレワークを導入すると仕事はどのように変わる?
次はテレワーク導入の前後で仕事がどのように変わるか把握するために、仕事を職種という観点で見てみましょう。
営業
テレアポから顧客訪問して商談といった営業起点で顧客に働きかけるアウトバウンドだけでなく、メルマガ発行やウェビナー開催で顧客からのアプローチを促し、オンラインで商談といったインターネットで一貫して営業を行う顧客起点のインサイドセールスも重要となっています。
バックオフィス
外部業者との請求書や契約書のやり取り、本店と支社のFAXの送受信など、紙の文書で行っていた業務が、デジタル化によってペーパーレスとなりオンラインで済むようになります。
マーケティング
展示会やイベントへの出展、セミナー開催、ポスティングなど、リアルな場を通じた顧客へのアプローチだけでなく、自社で保有しているユーザーデータのデータベース化、SEO対策、ウェビナーマーケティング、自社サイトの最適化などのデジタルマーケティングも必要となります。
これらから、テレワーク導入によって以下のように仕事が変わっていくと考えられます。
- デジタルで代替できる仕事はデジタルに移行する(バックオフィス)
- デジタル領域の仕事が以前に増して重要となる(営業・マーケティング)
これら3つの職種に限らず、他職種でも上記のような変化は起こるでしょう。また何らかの制約により現状はテレワークが難しい職種でも、今後、技術の進化によってデジタルへの代替が進むと同時にテレワークも導入されいくはずです。
テレワークにおける仕事のメリットとは?
最後にテレワークにおける仕事のメリットについて記載している記事を参考までにご紹介します。
テレワーク導入にあたって、企業・社員視点で押さえておきたいメリットとデメリットをまとめています。
テレワークのメリットとデメリットを企業・社員視点で理解する | DocBase
また以下の記事は、社員視点のメリットをより深くまとめています。
社員視点で知っておきたいテレワーク導入のメリットと懸念点 | DocBase
まとめ
テレワーク導入の割合は業種ごとに高低ありますが、多くの業種で実践されています。業種を限らずデスクワークがテレワークに向いており、中でも「個人の裁量で進められる仕事」や「すでにデジタル化されている仕事」は、すぐにテレワークへ移行ができるでしょう。また「現状デジタル化されていないがデジタル化が可能な仕事」は、環境が整えばテレワークが可能となります。
職種で見てみると、テレワーク導入による仕事の変わり方としては、「デジタルで代替できる仕事はデジタルに移行する」ようになり、「デジタル領域の仕事が以前に増して重要となる」のも分かりました。
現状はテレワークに向いてない、向いてないからテレワークができないと思われる仕事でも、技術の進化や環境変化(パンデミックなどを含む)によって、将来的にテレワークが可能となるはずです。時代の変化に応じてテレワークや新しい働き方を受け入れるために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する体制を整えていくことが、今後は企業にとって重要な取り組みとなるでしょう。