テレワークの導入成果はどのように評価する?
テレワークは企業価値を向上させるための施策の一つです。そのためテレワークを導入した結果「どれだけ企業価値が向上したのか」、その成果を評価してより良いあり方に改善していく必要があります。この記事では、テレワークの導入成果をどのように評価すべきかご紹介します。
テレワーク導入のポイントについて紹介した記事はこちらhttps://usecase.docbase.io/tips/remotework/631/
目次
テレワークの導入目的が共有されているか振り返る
まず、テレワーク導入時に設定した目的を振り返ります。テレワークの導入目的として挙げられやすいのは、働き方改革・生産性の向上・人材の確保/育成・事業継続・コストダウンなどで、企業の経営課題に応じて変わります。
テレワークの導入目的を設定するポイントを紹介した記事はこちらhttps://usecase.docbase.io/tips/remotework/880/
テレワークの導入目的の振り返りに際しては、一般社員・マネジメント・経営層といった階層別、部門・チームといった組織別など、多面的にヒアリングを実施して、目的が共有されているか確認します。
定量評価・定性評価の2つの評価軸を活用する
テレワークの導入成果における評価は、「定量評価」「定性評価」の2つの方法で行いましょう。
定量評価
定量評価とは、数値で評価するものです。「顧客対応」や「情報処理力」といった項目を設けて数値で評価をします。例えば「顧客対応」であれば、「顧客対応の回数・時間」「顧客訪問の回数・時間」「新規契約獲得数」「顧客維持件数」などが挙げられます。
定量評価の例(※)
- 顧客対応:顧客対応回数、顧客対応時間、顧客訪問回数、顧客訪問時間
- 残業時間:所定外労働時間をテレワーク対象者とそれ以外の社員で比較
- 事務効率:伝票等の処理件数、企画書等の作成件数、企画書等の作成時間
- オフィスコスト:オフィス面積、賃借料、コピー・プリント費用
- 移動コスト:移動時間、移動コスト
- 情報通信コスト:情報システム保守費用、通信費用
- 人材確保:入社応募者の数や質、離職者数
- オフィス改修コスト
定性評価
定性評価とは、数値以外の基準を設けて、その基準がどの程度達成できているか評価するものです。例えば「業務改革」「コミュニケーション」「働き方の質」などの項目を設けて、その達成度合いを評価をします。「業務改革」であれば、「知識・情報の共有」「無駄な仕事の削減」「ワークフロー」などが挙げられます。
定性評価の例(※)
- 顧客満足度
- 従業員満足度
- コミュニケーションの頻度・質
- 情報セキュリティ意識の徹底度
- 業務改革:知識・情報の共有、無駄な仕事の削減、ワークフロー
- 業務の自律性
- 働き方の質:仕事への満足度、通勤疲労度、働き方への満足度
- 生活の質:家族との団らん、趣味・自己啓発の充実度、育児・介護のしやすさ
(※参考:厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト・テレワーク導入方法」より)
PDCAサイクルでテレワークの評価を継続する
テレワークの導入評価は一度で終わるわけではありません。何度も継続して評価・改善していく取り組みが必要となります。そこで、ビジネスで一般的に用いられるPDCAサイクルでテレワークの導入評価を実践します。
とくにテレワークに慣れていない導入当初は、PDCAサイクルを短い期間で回してテレワークの問題点の洗い出しや改善をつぶさに行って、テレワークの質を上げていきましょう。
PDCAサイクルを実践するにあたっては、2点ポイントがあります。
1つ目は、PDCAサイクルをリードするマネジメントチームを作ることです。チームを作る理由としては、全社的な取り組みである旨を社員に明示する意図や、PDCAサイクルの評価業務が通常業務のサブ業務として後回しにされてしまうことを防ぐためです。総務省による『情報システム担当者のための テレワーク導入手順書』(PDF)では、テレワークの導入に関して全社横断的なチームを設けることが推奨されています。
経営企画部門、人事・総務部門、情報システム部門等のテレワーク推進に関わる社内制度や施策を担当する部門が中心となり、導入を検討している対象部門の代表者等も加え、全社横断的なチームとすることが重要です。
2つ目は、PDCAサイクルをどのように設計するかです。それぞれのフェーズで何をするかがあらかじめ簡潔にまとまっていると実施しやすいでしょう。
1、2を踏まえて設計すると以下のようなPDCAサイクルとなります。
Planー計画
マネジメントチームが中心となってテレワークの評価施策を策定します。施策を策定するために定量評価/定性評価のアンケート調査や、必要に応じて社員・マネジメント・経営者からのヒアリングも実施します。
- 定量評価/定性評価の調査結果を整理する
- 社員、マネジメント、経営者からヒアリングする
- 1と2で得られた調査をもとに改善点を洗い出して、施策を検討する
といった流れになります。
例:業務効率化を定量調査する場合は、社員がテレワーク前後で「顧客対応回数」が増えたか減ったかを比較することできます。社員のやる気向上というような定性評価の場合は、テレワーク前後で仕事に対するモチベーションがどのように変わったかを答えてもらうことで比較ができます。
施策においては、組織/チームごとにKGIを設定し、数字で評価できるものは組織/チーム、各社員のKPIを設定すると、Checkで振り返りやすいのでお勧めです。
Doー実行
上記Planで策定した施策を実施します。マネジメントチームが中心となって全社的に施策が行われるようリードしましょう。
Checkー評価
Doで実施している施策に問題がないか検証します。場合によってはPlanで想定した施策に無理が生じている可能性があるためです。
Actionー改善
Checkで施策を検証した結果をもとに、次のPlanでテレワークの評価施策を策定する際の改善点を明確にします。
次のPlanへ
Actionで明確にした改善点をもとに、テレワークのあらたな評価施策を策定しましょう。PDCAサイクルを1度回したら次のPlanとなり2周目へ移ります。サイクルを回す周期なども考慮していく必要があります。
まとめ
テレワークの導入評価は「目的の振り返り」「定量・定性評価」「PDCAサイクル」の3点がポイントとなります。
- 「目的の振り返り」…階層別・組織別など多面的にヒアリングして目的が理解されているか確認する。
- 「定量・定性評価」…数値や数値以外の明確な基準を設けて評価軸とする。
- 「PDCAサイクル」…テレワークの改善を継続して行っていくためのフレームワークとして活用する。
これらを実践していくにあたっては、全社的な取り組みとしてマネージメントチームを作り、リードしていくことが重要です。