情報管理はなぜ重要?管理におけるリスクやポイントも併せて紹介
日々の業務で扱う情報は、企業にとって貴重な資産です。しかし、情報管理が適切でないと、必要な情報を見つけ出すのに膨大な時間を費やしてしまいます。また、重要な情報の漏洩や紛失、特定の社員だけが情報を扱える属人化などのリスクも見逃せません。
多くの企業が情報管理の重要性を認識しているにもかかわらず、具体的な方法がわからず、悩みを抱えています。適切な情報管理の方法を見出せないでいるのが現状ではないでしょうか。
本記事では、そんな悩みを抱える方々に向けて、情報管理の重要性とリスク、効果的な情報管理のポイントなどについて実践的に解説します。情報管理の適切な対策を講じたい、情報管理を徹底させたい、情報漏洩を未然に防ぎたいと考える方々に向けて、具体的な方法やポイントをご紹介します。
【この記事を読んでわかること】
情報管理とは、「作成と受容」・「配布」・「使用」・「保守」・「廃棄」といった、情報管理のライフサイクル全体を通じて適切に管理するための包括的な取り組みブランドイメージの保持、情報漏洩の防止、業務効率化、情報格差の防止、情報の属人化防止、データの膨大化防止などのために重要情報管理のポイントは、課題と目的の明確化、ルール設定と周知、セキュリティポリシー設定など |
目次
情報管理とは
企業活動において、情報は貴重な資産です。しかし、情報の扱いが適切でないと、ビジネスチャンスを逃したり、重大な情報漏洩を引き起こしたりする可能性があります。そこで注目すべきなのが「情報管理」です。
情報管理とは、企業が持つ顧客情報・財務情報・人事情報・製品情報・生産情報・研究開発情報などの多様な情報を、情報活用のライフサイクル全体を通じて適切に管理するための包括的な取り組みになります。「情報ライフサイクル管理(Information Lifecycle Management:ILM)」の視点から見ると、「作成と受容」・「配布」・「使用」・「保守」・「廃棄」のフェーズに分けられます(※参照:情報ライフサイクル管理 – Wikipedia)。
効果的な情報管理の実現は、「使いやすさ」と「セキュリティ」が鍵となります。「使いやすさ」は、必要な情報に素早くアクセスできること。情報を探すのに時間がかかったり、情報が紛失したりすれば、業務効率が著しく低下してしまいます。「セキュリティ」は、外部からの不正アクセスや情報流出を防ぐことです。
この2つを実践するには、従来のアナログによる情報管理ではなく、最新のITツールを活用した一元管理が有効です。クラウドベースのシステムを導入すれば、セキュリティを確保しつつ、必要な時に必要な情報にアクセスできる環境が整えられます。
情報管理の重要性
情報管理は、業務効率の向上や機密保持に不可欠です。適切な情報管理により、情報の紛失や漏洩を防ぎ、迅速な意思決定が可能になります。情報管理の重要性について以下の点からご紹介します。
- 企業のブランドイメージを保持する
- ウイルスなどによる情報漏洩を防ぐ
- 作業時間を短縮し業務を効率化する
- チーム内の情報格差発生を防ぐ
- 情報の属人化を防ぐ
- データ量の肥大化を防ぐ
企業のブランドイメージを保持する
企業活動を左右する重要な要素の一つが、ブランドイメージです。イメージを守るためには、適切な情報管理が欠かせません。情報管理が不十分な場合、顧客の個人情報が外部に流出するリスクが高まります。そうなると、企業の信頼性が一瞬にして崩れ去り、売上の激減や取引先からの契約解除など、ビジネスに深刻な打撃を与えかねません。
さらに、ブランドイメージ回復のための広報活動や、損害賠償への対応など、本来不要だった業務が発生し、企業の負担が増大します。一度失墜したブランドイメージの回復には、膨大な時間と労力、そして資金が必要となるでしょう。このような事態を防ぐためには、日頃から徹底した情報管理体制を整えることが重要です。適切な情報管理は、ブランドイメージを守り、企業の持続的な成長を支える礎となります。
ウイルスなどによる情報漏洩を防ぐ
情報管理が十分に行われていない場合、ウイルス感染にも迅速に対応できません。ウイルス感染が社内システム全体に波及してしまうと、業務が停滞し、生産性が著しく低下する恐れがあります。ウイルス感染を原因としたWebサイトへのアクセス障害は、顧客とのコンタクトの機会を逃すことにもつながります。
こういったウイルス感染によるリスクを回避するには、質の高い情報管理を実現するITツールの導入が効果的です。情報管理ツールによって適切な情報管理体制を構築し、安全・安心な事業運営と成長の機会を確保できます。
作業時間を短縮し業務を効率化する
適切な情報管理システムを導入することで、従業員が必要なデータを素早く見つけ出せるようになります。従来は情報検索に費やしていた貴重な時間を、本来やるべき業務にあてることができ、生産性向上にもつながります。より創造的で価値あるビジネスを生み出すことも可能になるでしょう。
また情報への迅速なアクセスは意思決定のスピードを加速させ、市場の変化に素早く対応できる組織体制の構築にもつながります。効果的な情報管理は、企業の競争力向上の鍵となるのです。
チーム内の情報格差発生を防ぐ
ビジネスにおいて、従業員間で得られる情報の偏りは深刻な問題を引き起こします。適切な情報管理がなされていない場合、企業内の情報へのアクセスや利用において、従業員の間に不平等な情報格差が生じ、業務の遂行に支障をきたす可能性があります。例えば、営業部門で最新の製品仕様が共有されていないと、顧客に誤った情報を提供してしまうといったケースが考えられます。
しかし、適切な情報管理を実践することで、情報格差は解決できます。クラウドベースの情報共有ツールを導入すれば、顧客データや製品情報をリアルタイムで更新し、チーム全体で即座に共有できるようになります。誰もが最新の正確な情報にアクセス可能な環境が整うのです。
結果として、チームメンバー全員が同じ情報を基に迅速に行動できるようになり、業務スピードが向上します。顧客対応の質が均一化されることにもなり、サービスレベルの向上にもつながります。
情報の属人化を防ぐ
「情報の属人化」とは、重要な業務知識や顧客情報が特定の社員にのみ集中している状態を指します。例えば、長年勤務するベテランの営業担当だけが把握している商談のコツや、エンジニア個人が管理している技術ノウハウなどが該当します。
こういった属人化は、組織にとって大きなリスクとなります。キーパーソンが突然休職したり退職したりすると、業務が滞り、顧客対応にも支障をきたす可能性があるからです。
属人化を解決するには、適切な情報管理システムの導入が不可欠です。クラウドベースの情報共有プラットフォームを活用すれば、個人の経験やノウハウを組織の財産として蓄積できます。誰もがその時々で必要な情報にアクセスできるようになり、業務の効率化とサービスや製品の安定化が図れます。
データ量の肥大化を防ぐ
情報管理の甘さは、データの扱いにおいても思わぬ落とし穴となります。適切な情報管理システムが整備されていなければ、日々の業務で生まれた膨大なデータが、どんどん蓄積されていきます。
例えば、同じ顧客情報が複数の部署で別々に保存されたり、過去のプロジェクト資料が重複して保管されたりすることで、データ量が急速に増大します。整理されていないデータの肥大化は、必要な情報を素早く見つけ出すことを困難にし、結果として業務効率の低下を招きます。
増え続けるデータの保管や管理にかかるコストも無視できません。効果的な情報管理システムを導入し、データの作成・保存・破棄に関する明確なルールを設けることで、データ肥大化の問題が解決できます。
情報管理のポイント
効果的な情報管理には、まず自社の現状を正確に把握しましょう。現状を把握した上で課題を特定し、具体的な改善策を立案・実行することで、適切な情報管理体制が構築できます。継続的な見直しと改善を行いながら、情報セキュリティの強化と業務効率の向上に取り組んでいきます。以下の具体的なポイントについて見ていきましょう。
- 現状の課題と目的を明確化する
- 情報管理のルールを定め周知する
- セキュリティポリシーを設定する
- 情報管理責任者を設定する
- 管理体制を定期的にアップデートする
- ITツールを利用し情報を一元管理する
現状の課題と目的を明確化する
効果的な情報管理を実現するには、まず自社の情報管理の現状を正確に把握します。例えば、営業部門で顧客データの更新が遅れがちなのか、あるいは技術部門で重要な知識が特定の社員に偏在しているのかなど、具体的な問題点を洗い出しましょう。
同時に、情報管理の目的も明確にします。単に「情報を管理したい」という漠然としたものではなく、「顧客対応のスピードを20%向上させたい」、「新入社員の業務習熟期間を3カ月短縮したい」といった各部門での具体的な目標を設定し、その上で情報管理をどのようにすべきかを検討することも大切です。
加えて社内の情報管理ツールの利用状況も確認します。既存のシステムがあるにもかかわらず活用されていないのであれば、その原因を探り、改善策を講じる必要があります。情報管理における現状の課題と目的を明確にした上で、最適な情報管理戦略を立案し、実行していきます。
情報管理のルールを定め周知する
効果的な情報管理を実現するには、明確なルールの策定が不可欠です。これは、単なる理想論ではなく、実務上の重要な防衛策となります。
ルール作りの第一歩は、企業内に存在する情報の調査です。顧客データ、製品設計図、営業戦略資料など、企業内で利用されている情報を把握し、それぞれにふさわしい管理方法を決定します。情報の重要度によって、「極秘情報はアクセス権限を厳しく制限する」、「一般的な社内文書は共有フォルダで管理する」といった具合です。
また、情報管理の責任者を明確に定めることも重要です。この担当者は、ルールの運用状況を監視し、必要に応じて改善策を提案する役割を担います。
同時に策定したルールを全社員に周知徹底することも必要です。定期的な研修や、社内イントラネットでの案内など、複数の手段を用いて繰り返し伝えることで、情報管理の重要性に対する理解を深めましょう。
セキュリティポリシーを設定する
情報管理の基盤となるのが、セキュリティポリシーです。これは、企業の情報管理における羅針盤のような役割を果たします。例えば、以下のようなセキュリティポリシーが考えられます。
- アクセス制御ポリシー
- 社員は、自分の役割に必要な情報やシステムへのアクセス権限のみを持つ。
- パスワードポリシー
- パスワードは8文字以上で、英数字と記号を組み合わせる。
- データセキュリティポリシー
- 顧客情報を暗号化し、安全なサーバーに保管する。
- インターネット利用ポリシー
- 社員は、会社所有のコンピュータで私用目的でインターネットを使用しない。
- ソーシャルメディアポリシー
- 社員は、会社のウェブサイトやソーシャルメディアアカウントで会社の機密情報や従業員の情報を公開しない。
- モバイルデバイスセキュリティポリシー
- 会社所有の携帯電話やタブレットには、パスワードロックを設定し、データの暗号化を行う。
- セキュリティインシデント対応ポリシー
- セキュリティインシデントが発生した場合、インシデント対応チームが対応を行い、状況を評価し、被害を最小限に抑える。
こういったセキュリティポリシーを設定することで、日々の業務における情報管理への判断もしやすくなります。新しいクラウドサービスの導入を検討する際にも、「このツールは我が社のセキュリティポリシーに適合しているか」という観点から評価できるようになります。
さらに、セキュリティポリシーは、社内の情報管理文化を形成する上でも重要です。明確な方針があることで、社員一人ひとりが情報管理の重要性を認識し、自発的に適切な情報管理を心がけるようになります。
なお、形式的なポリシー策定に終わらせないことも大切です。定期的な見直しと現場の実態に即した柔軟な変更が、上手なセキュリティポリシー運用の鍵となります。
情報管理責任者を設定する
効果的な情報管理体制を構築するには、明確な責任者の存在が不可欠です。責任の所在が曖昧な場合、社員のセキュリティ意識の低下を招き、重大な情報漏洩リスクにつながるリスクがあるためです。
そこで、情報管理チームを設立し、専任の責任者を任命することをおすすめします。この責任者は、情報管理の実践をリードし、日常的なセキュリティ対策の監督だけでなく、万が一の事故発生時にも迅速な対応を指揮する重要な役割を担います。
例えば、フィッシング攻撃を受けた際には、責任者が即座に全社員に警告を発し、被害の拡大を防ぎます。また、定期的なセキュリティ研修の企画・実施にも取り組み、社員の意識向上にも貢献します。
ただし、責任者の設置だけでは不十分です。全社員が情報管理の重要性を理解し、日々の業務で実践することが重要です。責任者を中心に、組織全体で情報管理の文化を醸成していくことが、強固な情報管理体制の構築につながります。
管理体制を定期的にアップデートする
情報セキュリティの世界は、新たなリスクが次々と浮上する変化の激しい分野です。一度確立した管理体制に安住していては、新たなリスクに対応できなくなってしまいます。そこで重要なのが、定期的な見直しと更新です。
例えば、最新のサイバー攻撃手法に対する防御策を組み込んだり、新しい業務ツールに合わせてルールを調整したりすることが必要です。常に最善の管理体制を目指して柔軟に対応することで、予測可能なリスクを最小限に抑えます。
ITツールを利用し情報を一元管理する
情報管理の効率化とセキュリティ強化を両立させるには、適切なITツールの導入が欠かせません。セキュリティ機能を備えたITツールを情報管理に活用することで、社内の重要情報を一箇所に集約し、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
例えば、顧客データや取引先情報、社内文書などを一元管理すれば、必要な情報へのアクセスが容易になり、業務効率が飛躍的に向上します。さらには全社員が同じプラットフォーム上で価値ある情報を共有することで、個々人のスキルアップにつながり、新たなアイデアや革新的なサービスを生み出す可能性も高まります。
ただし、注意すべき点もあります。どんなに優れたITツールでも、使いこなせなければ意味がありません。直感的な操作性と、社員全員が無理なく活用できる機能性を兼ね備えたITツールを選ぶことが重要です。
ツールの選定にあたっては、「導入目的に合っているか」・「使いやすさ」・「コストパフォーマンス」・「セキュリティ対策」など、多角的な視点から総合的に判断しましょう。
適切な情報管理で企業価値を高めよう
情報管理は企業の競争力と信頼性を左右する重要な要素です。適切な管理体制を構築することで、業務効率アップ、セキュリティリスク低減、そして企業価値の向上が実現します。自社の課題を正確に把握し、明確なルールとセキュリティポリシーを設定した上で、責任者を定めて定期的な見直しに取り組みましょう。
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