【生産性向上ガイド】メリットやすぐにできる実践方法、成功のコツをご紹介!
最終更新日:2025年7月17日
生産性とは、投入したコストに対して生み出された生産物の割合を示す指標です。少ない投入資源で高い成果が得られた場合、生産性が高いといえるでしょう。生産性の向上は、企業の競争力アップにつながり、結果的に労働環境やワークライフバランスの改善などの好循環を生みます。しかし、実際に何から手を付ければ良いのかわからないという声もあるでしょう。
本記事では、生産性を上げるための具体的な方法や成功のコツを解説します。陥りがちな失敗事例も紹介するので、生産性を向上したいと考えている経営者様やマネジメント層の皆さまは、ぜひ参考にしてください。
【この記事を読んでわかること】
- 生産性には、物的労働生産性と付加価値労働生産性がある
- 生産性向上が重視される背景には、日本の労働人口減少がある
- 生産性向上に取り組むと、人材不足や労働力不足の問題解決につながる
- 生産性向上は、労働環境の改善やワークライフバランスの改善につながり、社員のモチベーションや満足度に影響する
- 生産性向上のためには、体制作りや便利なツールを導入すると良い
目次
生産性向上とは?

「生産性」とは、投入した資源に対して、どれだけの成果が出せたかを表す指標です。ここでいう資源とは、従業員数や労働時間など、企業が利益を出すために必要となるリソースのことです。生産性向上とは、人や設備・時間といった、投入した資源に対してアウトプットされる生産量を向上させることを指します。
理想的な状態として、少ない資源の投入で多くのアウトプットを得るのが理想です。言い換えれば、同じ資源を投入してもアウトプットが多い方が生産性が高いと判断できます。なお、生産性の指標には大きくわけて以下の2種類が存在します。
- 物的労働生産性
- 付加価値労働生産性
それぞれ詳しく解説し、両者の違いについても言及します。また、業務効率化との違いについても見てみましょう。
物的労働生産性
物的労働生産性とは、労働者数ひとりあたり、もしくは1時間当たりにどれくらいの生産量を生み出したかを表す数値です。生産量と労働者数や労働時間を比べるため、計算が簡単で、直感的に理解しやすい指標です。生産個数や生産量などで量るため、製造業に適しています。
物的労働生産性は、以下の計算式で求められます。
- 1人あたりの物的労働生産性=生産量÷労働者数
- 1時間あたりの物的労働生産性=生産量÷(労働者数×労働時間)
生産個数や生産量など物理的な量をアウトプットとし、このアウトプットを得るために必要な労働量をインプットとする考え方です。労働者ひとりあたりがどれくらいの生産量を生み出したか、もしくは1時間当たりの生産量を単純に計算します。
物的労働生産性を高めるためには、ルールや機械で自動化させること、社員のスキルアップを図るなどです。物的労働生産性は、量の計算のため、製品の品質や顧客満足度といった側面は考慮されていません。
付加価値労働生産性
付加価値労働生産性は、労働者ひとりあたり、どれぐらいの粗利を生み出したかを表す数値です。商品の付加価値を労働者数や労働時間で割って算出します。
付加価値労働生産性は、以下の計算式で求められます。
- 1人あたりの付加価値労働生産性=付加価値額÷労働者数
- 1時間あたりの付加価値労働生産性=付加価値額÷(労働者数×労働時間)
企業にとっては、投入した労働に対して、どれだけ利益を出したかが重要です。なお、日本の2023年における1時間当たりの付加価値労働生産性は5,110円でした。1995年度以降で最も高くなっていますが、世界的に見ると、トルコやチェコよりも低く、OECDの平均を下回っています。
参照:公益財団法人日本生産性本部|日本の労働生産性の動向2023
生産性向上と業務効率化の違い
生産性向上と業務効率化は、どちらも仕事のパフォーマンスを上げるために重要ですが、少し意味合いが違います。生産性向上は「成果」を軸に評価される施策である一方、業務効率化は「改善」への取り組みといったイメージです。
生産性向上は、資源投下に対して得られる成果の拡大を指します。企業の投資(インプット)に対して、いかに成果(アウトプット)の比率を高められるかが重要です。新しいアイデアや技術を導入したり、人材育成したりと組織全体の最適化によって達成できます。
それに対して、業務効率化は「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省き、業務内容を改善するために行われる施策です。同じ仕事をするのにかかる時間や労力を減らすことを目的にしています。例えば、同じような書類作成が繰り返されている場合はテンプレートを作り入力の手間を省く、会議の議事録を手打ちでまとめていたものをAIで自動生成してもらうなどです。仕事の流れをスムーズにするための施策=業務効率化と考えてよいでしょう。
生産性向上が重要視される主な理由

生産性向上が重視される背景には、主に以下の2つの理由があります。
- 国内の労働力人口の減少
- 日本の国際競争力の低下
それぞれ詳しく見ていきましょう。
国内の労働力人口の減少
近年「労働人口減少の問題」が深刻化しています。厚生労働省の調査によれば、2020年をピークに労働人口は急激に減少すると予測されています。少子高齢化が加速するのと同時に、生産年齢人口の減少も激しいため、国内での人材確保は今後さらに難しくなるでしょう。

また、熟練工の高齢化による技術伝承の問題もあります。今の現役世代が大量に退職や引退をする前に、ノウハウやスキルの共有をしておくことも重要です。ベテラン社員の知恵やノウハウを言語化して、データベース化しておくことで、生産性アップに寄与できるでしょう。少ない労働力で大きな価値を出すことが、これから来る超高齢化社会への対策となります。
日本の国際競争力の低下
世界的に見ると、日本の生産性は低く、競争力も年々弱くなっています。1時間当たりの労働生産性を比較すると、上位10位にも入っていません。それどころか、2010年以降下落し続けており、2030年には30位になると予測されています。

出典:公益財団法人日本生産性本部|労働生産性の国際比較2023
国際競争力低下の原因としては、少子高齢化以外にも、IT化の遅れや規制緩和の遅れ、政府の対策の遅れなどがあります。今後、国内市場が縮小していくなかで、激化するグローバル市場で勝ち残るためには、限られた資源で価値の高いアウトプットを生み出す必要があるでしょう。
日本政府としても、国際競争力アップのために、規制緩和を進めて企業活動を後押しする方針です。その流れに乗り、生産性を上げ、世界で活躍できるよう生産性向上が不可欠といえます。
生産性向上によって企業や社員に生まれるメリット

生産性向上によって生まれるメリットについて、以下の6つにまとめました。
- 人材不足・労働力不足問題の解決
- コスト削減
- 企業の競争力向上
- 労働環境の改善、ワークライフバランスの改善
- モチベーション・社員満足度の向上
- 顧客満足度の向上
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人材不足・労働力不足問題の解決
高齢化が進む日本では、先述のとおり働き盛りである30歳から50歳の人口が減少し続けています。そのため、人に代わるツールで、生産性を維持・向上させる必要性が叫ばれています。AIなどの導入で、生産性向上や業務効率化を実現すれば、労働者あたりが生み出す生産量や粗利が向上するでしょう。
少子高齢化で人材の確保が難しい現代、限られた労働力で大きな成果を生み出せる仕組み作りは必須です。とくに人材が集まりにくい中小企業の場合、早急に取り組むべき課題といえます。少ない従業員でも大きな成果を算出できるよう、自動化できる部分はAIやRPA(ロボティックプロセスオートメーション)などの導入を検討しましょう。
コスト削減
作業の時間や工数を効率化すれば、社員の労働時間を減らせます。生み出された時間は、新しいサービスの考案や既存サービスの改善にあてられます。このように、生産性を向上すれば、人・時間・設備などの投入資源が同じでも、今まで以上の生産物を生み出せるようになるのです。
また、人件費などのコスト削減につながるため、利益率も改善するでしょう。生み出された資金は、事業発展や設備投資、労働環境改善などにあてることも可能です。その結果、さらなる生産性アップといった好循環が生まれるでしょう。
企業の競争力向上
生産性向上により企業競争力が上がるのも大きなメリットです。繰り返しになりますが、生産性向上は、人・時間・設備などの少ない投資で生産量を向上することです。少ない社員でもツールなどを用いて価値の高い新製品や利益を生み出せれば、生産性向上が達成できたといっても過言ではありません。
ツールなどの導入で生み出されたリソースや人員は、コア業務や高付加価値業務にあてると良いでしょう。これがうまく循環すれば、さらなる業績アップや競争力向上につながります。また、自社独自の価値提供に力を入れても良いかもしれません。自社の独自価値に注力することで、市場での競争力をより高めることができます。
労働環境の改善・ワークライフバランスの改善
デジタル化やITツールを導入すれば、業務の自動化や効率化が進みます。その結果、業務の無駄な部分を減らしたり自動化できたりして、社員の抱える負荷を取り除けるでしょう。デジタル化を進めればマンパワーに頼っていたせいで発生した負荷や残業が減るため、社員はより創造的で価値のある業務に集中できるようになります。
また、残業が減れば会社は人件費の削減ができ、社員はワークライフバランスの改善や向上につながります。ワークライフバランスは、近年政府主導で行われている働き方改革に関連する考え方です。仕事とプライベートの時間をバランスよく取れる環境を提供できるという意味でも、生産性向上の取り組みは、近年推進されている働き方改革にも有効です。
モチベーション・社員満足度の向上
社員のひとりあたりの生産性が上がれば、利益率がアップし、会社の業績アップにもつながります。利益は給与や待遇へ還元されるため、社員ひとりあたりの年収がアップします。給与の改善は、社員のモチベーションアップや満足度の向上につながるでしょう。生産性とモチベーションは密接に関連しており、高いモチベーションがある社員は、誇りを持って仕事に取り組みます。それが好循環を呼び、さらなる相乗効果をもたらすでしょう。また、会社への不満が減れば、離職率の改善にもつながります。
顧客満足度の向上
生産性向上により得られるメリットとして顧客満足度の向上があります。無駄を省くことで商品のコストパフォーマンスが高まり、顧客満足度向上に貢献するでしょう。具体的には、次のようなことが実現します。
- 短納期化
- 品質向上
- 対応の迅速化
- サービスの開発促進
生産性が上がると、製品やサービスの納期が短縮され、待ち時間少なく商品を手に入れられます。また、品質管理が容易になるため商品の質自体が向上します。ほかにも対応が早くなるため、余った時間を新しいサービス開発にあてられるなど、顧客満足にはプラスのことばかりです。顧客満足度が上がれば、リピート率増加や新規顧客獲得にもつながるでしょう。
また、業績が上がれば利益は給与に反映するため、従業員のモチベーションアップにもプラスの効果です。モチベーションが高い社員は、質の高いサービスを提供するため、結果として顧客満足度の向上につながります。
生産性向上のための具体的な実践方法

生産性向上のための具体的な実践方法として、以下の6つがあります。
- 現状業務の可視化
- 無駄な業務の洗い出し
- 適切な人員配置
- アウトソーシングの検討
- 社員のスキルアップ支援
- ツールやシステムの活用・情報共有の仕組み作り
それぞれ詳しく見ていきましょう。
現状業務の可視化
最初のステップとして、現状の業務を可視化しましょう。重要度の低い業務や簡略化できる業務があれば、積極的に改善をしていきます。そのために、以下のものを用意しましょう。
- 業務マニュアル
- 手順書
- フローチャート
- 組織図
- 従業員労働時間
- 課題達成表
- 目標管理シート
ほかにもホワイトボードやポストイットに直接書き込んだりする原始的な方法もあります。デジタルツールとしては、マインドマップやスプレッドシートを利用するのもおすすめです。業務管理ツールやプロジェクト管理ツールなど、より高度な可視化支援ツールもあります。
無駄な業務の洗い出し
次に取り組むべきことは、業務の棚卸しです。量やフローを正確に把握し、現状の業務を可視化していきましょう。そのうえで、慣例的に続いている作業や重要度の低い業務がないかを確認していきます。
具体例として、生産部門を参考に考えてみます。作りすぎや在庫がたまっている、手間のかけすぎなどがないかを洗い出します。営業部門であれば、見込みのない客への営業活動や営業以外の無駄な作業などです。
一つひとつの作業を見直すことで、日常的に見逃していた小さな無駄を洗い出せます。簡略化できそうなものがあれば、積極的に改善していきましょう。また、少し複雑な業務内容であれば、さらに細分化してみるのをおすすめします。一つひとつを可視化していけば、より小さな無駄を洗い出せるはずです。
適切な人員配置
適切な人員配置は、企業の生産性に大きく影響します。社員それぞれのスキルや強み、これまでの業務経験などを把握したうえで、適材適所の部署やポジションに再配置しましょう。そのためには、社員それぞれが保有している資格やスキル、業務経験を収集して、情報としてデータベースにしておきます。
情報が整理されていれば、人事計画を立てる際に役立ちます。注意すべきは、スキルや経験があるからといって、本人がその配置を望んでいるとは限らない点です。本人の希望に反する配置は、モチベーション低下につながり、さらには生産性低下につながってしまいます。個々の性格やスキル、本人の希望を聞いたうえで、慎重に配置しましょう。
アウトソーシングの検討
社員が担当すべき業務と外注できる業務を適切に仕分けしてみると、外注できる業務は意外に多いものです。事務処理などの利益に直結しない業務は、アウトソーシングを検討しましょう。外部委託できる業務の例としては以下のようなものがあります。
- 営業事務
- 請求書発行・受発注業務
- 給与計算・経費精算
- 総務事務
- 受付業務
- 採用代行
- ドキュメント作成
- ライティング・編集
- データ入力
- デザイン・コーディング
- 広告運用
- カスタマーサポート
- 健康管理
外注するかどうかの判断ポイントは、社員の人件費と外注費を比較して、外注費用のほうが低い場合です。また外注したほうが、業務の質や量が向上する場合もアウトソーシングをおすすめします。空いた時間を使って、社員には本来注力すべき業務に携わってもらいましょう。
社員のスキルアップ支援
社員のスキルアップは、業務の量や質の向上に直結します。そのため、スキルアップに役立つような研修やセミナーを開催しましょう。資格取得へ向けた支援制度を設けるなども有効です。制度を整える際には、会社が一方的に指定するだけでなく、現場社員にも意見を聞いてみるのもおすすめです。
ただ支援制度を設定しただけだと、なかなか利用してもらえません。資格を取得すれば手当が支給されるような仕組みを設定し、社員のモチベーションを上げる工夫も重要です。継続的にスキルアップ意識の啓発を行い、定期的にフォローしていきましょう。
ツールやシステムの活用・情報共有の仕組み作り
社員の業務負担を軽減し、作業効率をアップさせるには、ITツールやサービスの導入が欠かせません。今まで紙で行っていた業務をペーパーレス化するだけでも大幅なコスト削減につながります。また、専用ツールを活用すれば、今まで手間をかけていた作業を効率化や自動化が可能です。
おすすめのシステムやツールとしては、以下のようなものがあります。
- 自動化できるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)
- マニュアル作成ツール
- コミュニケーションツール
- 情報共有ツール
業務効率化を支えるツールは、生産性向上のための土台作りに役立ちます。積極的に導入を検討してみましょう。これらを導入するための補助金なども用意されているため、興味があれば調べてみることをおすすめします。
生産性向上を目指す際に陥りがちな失敗

生産性向上を目指すあまり、陥りがちな失敗もあります。よくある事例として以下の4つを紹介します。
- マルチタスクの押し付け
- 現場を巻き込めていない
- 長時間労働・時間外労働を強いている
- なんでも「削減」しようとする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
マルチタスクの押し付け
生産性を追求するあまり、社員にマルチタスクを押し付けないようにしましょう。マルチタスクとは、複数の業務を同時進行することを指します。業務がマルチタスク化すると、脳に負担がかかり、実際には作業効率が下がってしまうのです。
また、仕事の終わりが見えない状況が続くと、徐々にストレスを抱えてしまう恐れがあります。結果的に、何に対してもやる気が出ない「燃え尽き症候群」になってしまう可能性もあります。異なるスキルや知識が必要な業務は、常に業務を公平に配分してください。ひとりの人に多くの仕事を集中させないようにしましょう。
現場を巻き込めていない
現場の状況を無視した施策は、社員のモチベーション低下を招きます。マネジメント側から一方的に施策を発案しても、的外れなものだと現場に受け入れらません。いわゆるトップダウンの方式ですが、現場を巻き込めないような施策は提案しないことが重要です。
現場を巻き込んだ業務改善を行うには、まず現場の声を吸い上げ、改善施策を検討するところから始めます。その次の段階で、現場と一緒に取り組めるような施策を打ち出しましょう。最終的には、全社を巻き込めるような取り組みにしていくという流れがベストです。時間はかかりますが、徐々に理解を得て社内に浸透させていくようにしてください。
長時間労働・時間外労働を強いている
生産性向上のための施策が好循環で回るまでには、さまざまな取り組みが必要です。しかし、そのために長時間労働や時間外労働を強いては意味がありません。
長時間労働を強いた結果、社員の疲労がたまったり、健康を害したりすると本末転倒です。負担増により、現場のモチベーション低下にもつながります。最悪の場合、社員の休職や離職などへと発展することもあるでしょう。
生産性向上の施策が、かえって生産性低下につながる可能性もあると考え、現場への負担増には注意しましょう。
なんでも「削減」しようとする
無駄なコストや工数を減らすことは、生産性向上のためには重要です。しかし、業務効率化だけを重視し、なんでも削減しようとするのはおすすめしません。業務プロセスを無理に削減すると、かえって商品やサービスの質低下を招いてしまいます。
また、仕事に必要なツールや設備が不足していると、社員はストレスを感じて生産性が低下することもあるでしょう。費用がかかるからといって、研究開発を削減したら新しいサービスが生み出せなくなってしまう可能性もあります。なんでも削減してしまうと、結果的に売上減少のリスクにつながるため、削減する場合は慎重に検討しましょう。
生産性向上を成功させるための6つのコツ

生産性向上を成功させるためのコツを6つ紹介します。
- 生産性向上の目的や目標を共有する
- 長時間労働につながる施策は避ける
- 過度なマルチタスク化を防ぐ
- 業務効率化だけを目指さない
- 長期的な視点で継続的に取り組む
- PDCAを回す・情報共有できる体制を整える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
生産性向上の目的や目標を共有する
生産性向上は、実は抽象的な概念です。業種や業態によって、また部署や個人によって「生産性」が何を示すかは、捉え方が異なります。自社において「生産性」が何を指すのか、何のために取り組むのか、どうなってほしいのかなど、目的や目標を明確にして全社で共有をしておきましょう。同時に、自部署における「生産性向上」とは何なのかも考えてください。
また、組織全体で同じ方向に向かうために生産性の定義などを共有してから取り組むことで、無駄な取り組みを減らし、大きな成果へとつなげられます。やみくもに施策を実施するのではなく、生産性向上を図る目的や目標を明確にするところからがスタートです。
長時間労働につながる施策は避ける
失敗の例でも解説しましたが、長時間労働につながるような施策は避けましょう。マネジメント側は、必要な業務と不要な業務を仕分けて、選択と集中の判断を適切にする必要があります。
社員に与えている業務とそのプロセスを監督し、業務量が偏っていないか、実行優先度の低い業務に携わらせていないかなどのチェックが重要です。実際の労働時間と本人のモチベーションなどを適宜確認しながら、達成まで導いていきましょう。
何が長時間労働につながるのかは、実際にやってみなければわからない側面もあります。いきなり全部署で実施するのではなく、段階的に導入することも施策のひとつであることを覚えておいてください。
過度なマルチタスク化を防ぐ
前述したとおりマルチタスクは、複数の業務を同時に進行することを指します。一見すると、ひとつの業務に集中するよりも、マルチタスクのほうが効率が良いと感じるかもしれません。しかし、近年さまざまな研究により、マルチタスクが生産性を低下させることが明らかになっています。
とくに日本はひとつの業務に専従するスペシャリストよりも、あらゆる業務に包括的に携われるゼネラリストを醸成する企業文化が主流です。マルチタスクはこの考え方の後者に該当するため、改善が難しい場合があります。業務プロセスの根本的な見直しや体制の改善検討を通じて、マルチタスクを強制しない体制を整えていきましょう。
業務効率化だけを目指さない
業務効率化は、生産性向上の手段のひとつです。しかし、業務効率化だけが生産性向上につながるわけではありません。生産性向上につながる施策はほかの手段もあるため、業務効率化だけにこだわりすぎないようにしましょう。
たとえば、時間やコストなどのインプットを最小限にしたり、アウトプット(利益)を最大化したりすることのほうが大切な場合もあります。生産性向上のカギは「ムリ・ムラ・ムダ」を排除することでもあります。社員のスキルアップや適材適所への人材配置など、アウトプットを増やす施策にも力を入れることで改善できる部分もあるため、冷静な見極めと施策の実施が必要です。
長期的な視点で継続的に取り組む
生産性向上は一朝一夕で効果が出るものではありません。長期的に取り組んで初めて成果が出るものである、という考え方とそれに則った施策を続けることが重要です。
場合によっては、ある部署では成果が出なくても、ほかの部署では同じ施策で成果が出たというケースもあります。このような場合、情報共有がスムーズにできる仕組みを整備しておけば、成功事例や改善ポイントを全体で共有できます。
このような過去の事例を参考にしつつ、他部署で成功した事例を共有できるような環境を整えて、長期的な目線で取り組みを継続していきましょう。
PDCAを回す・情報共有できる体制を整える
1度の施策により、生産性がすぐに向上するわけではありません。施策の効果を定点観測し、都度PDCAサイクルを回すことが重要です。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)を繰り返しながら、施策をブラッシュアップしていく仕組みです。トライ&エラーと混同されがちですが、PDCAサイクルの方が、より効果が高いと言われています。
企業や部署全体でPDCAサイクルが回りやすいよう、社内で情報共有がしやすい体制を構築していきましょう。ポイントは社内や部署全体での体制作りです。時間はかかりますが、即効性を求めずに着実に準備・実施をしていってください。
生産性向上には自社に合ったツールやシステムの導入を!
生産性向上に取り組むことで、これから迎える労働不足時代への対策にもなります。そのためには、業務の洗い出しや見直し、過去事例の検証など、課題を見つけ出す作業が必要です。具体的な方法として、さまざまな記録や情報をデータベース化していきましょう。
生産性向上に役立つ情報共有ツールをお探しならDocBaseがおすすめです。社内Wikiや日報の作成から、議事録・企画書・社内報・マニュアル作成などさまざまな形で活用できます。また、1万社以上の導入実績があるため、安心してご利用いただけます。
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